あげたいのに、受け取ってもらえない。そんな相続もある ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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あげたいのに、受け取ってもらえない。そんな相続もある
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相続は、放棄もできることをご存知でしょうか? 例えば、被相続人の借金は、相続人が引き継がなければなりませんが、相続放棄の手続きを行えば、その義務から免れることができます(財産をもらう権利も失います)。ところが、世の中には、もらえる財産をわざわざ受け取らない人もいるそうです。税理士の遠山順子先生に聞きました。
借金はないのにもらわない。その理由とは?

相続では、プラスの財産をもらう権利だけでなく、もし借金などの義務があれば、それも引き継ぐことになります。では、相続人は必ず相続しなければならないのかといえば、そんなことはありません。権利も義務も、まとめて放棄することもできるのです。それが、「相続放棄」。相続放棄のためには、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に」、家庭裁判所に対して「申述」をしなければならない、と民法に定められています。

当然のごとく、相続放棄で多いのは、被相続人が財産を上回るような、多額の借金をしていた場合です。でも、稀にではありますが、借金がないのに「財産はいらない」と放棄する人もいます。

私は、「事実は小説よりも奇なり」を絵に描いたような、印象的な案件に関わったことがあります。

相談に来られたのは、すでに60歳を過ぎた男性でした。無類のギャンブル好きで、それが原因で身を持ち崩し、ついには離婚。ところが、なんたる神様の悪戯か、その男性の買ったロト宝くじが、見事6億円を引き当ててしまいました。ちなみに、宝くじの当選金に税金はかかりません。だから、6億円は丸々彼のもの。

普通のパターンだと、これ幸いとギャンブルに注ぎ込み、派手に遊び回るところでしょうが、彼は違いました。妻に迷惑をかけたから、一部を贈与したい、というのです。私は、元奥さんに手紙を書くよう、アドバイスしました。

元奥さんは、最初、「私がそのお金をいただく理由は、ありません。パートで生計を立てているので、生活にも困っていません。もし、いただくことで復縁しろとか、定期的に会えというのなら、きっぱりお断りします」と受け取りを拒みました。しかし、そうした意図ではないことを伝え、何度か手紙を送るうち、男性の誠意が通じたのでしょう、最終的にはお金を受け取ってくださることになりました。
親子の感情のもつれが一番難しい

その男性には、看護師として働く娘さんもいました。彼女にも贈与を申し出ましたが、小さい頃からギャンブル三昧だった父親のことがどうしても許せず、うんと言ってはくれませんでした。離婚によって法定相続人の立場ではなくなった元奥さんが贈与に同意したのに、相続人である実の娘さんが、それを完全に拒否したわけです。

住宅ローンやら何やらで、決して生活は楽ではないにもかかわらず、安易にお金を受け取らないというのは、あっぱれな態度でもあります。ただ、男性にしてみれば、子どもに対しては、妻以上に負い目を感じているはず。「迷惑をかけてすまなかった」という気持ちとしての贈与に同意してもらえないのは、さぞ残念なことでしょう。世の中には、「お金をもらってもらえない辛さ」もあるんですね。

この例にもみられるように、相続においても、税理士として一番難しいと思うのが、親子の感情のもつれです。ほぐすのにこれといった特効薬はなく、時間をかけて本音をぶつけ合い、徐々に心の壁を崩していくしかありません。そんなとき、比較的「効く」のが、実は手紙です。私は、そうしたケースでは、いつも心を込めて文章をしたためるように勧めています。

ともあれ、大金を手にしたことで、生活が荒んでしまったという話はよく聞きますが、この方の場合は、お金で心に余裕が生まれ、ある意味、人間を取り戻したわけですね。別れた妻への贈与は毎年続けていて、いつの日か娘さんもその反省を受け止め、心が溶ける瞬間が訪れたらいいな、と私は密かに期待しているのです。
カテゴリ:贈与 遺産分割
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