「争続」の裏に潜む、きょうだいの「感情のもつれ」 ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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「争続」の裏に潜む、きょうだいの「感情のもつれ」
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表面上、仲の良かったきょうだいが、親の相続に直面したとたんに、骨肉の争いを始めるのは、もはやテレビドラマの中だけの話ではありません。もちろん、具体的に争うのは、遺産の「取り分」。でも、その背景には必ずと言っていいほど、複雑な「感情」が介在しているそう。税理士の海老原 玲子先生も、そんなたくさんの人たちを目にしてきました。
「母の着物は、どこに行った!」

前回のこのコーナーでもお話ししましたけれど、親の相続をめぐってきょうだいが揉める場合、その「エネルギー」になっているのは、実は剥き出しの金銭欲というよりは、他人には理解不能な「感情」であることが多い、というのが私の率直な感想です。「この人はどうしてこんなことを言い出すのだろう」というシーンが、遺産分割協議などの場では、日常茶飯事なんですね。

判で押したように多いのが、「父親は、兄貴ばかりをかわいがった」というパターン。「小学校の時こうだった」「中学ではあんなことがあった」……。成人したての青年が口にするのなら、分からないでもありません。でも、そう一生懸命主張しているのは、60歳代の相続人だったりするわけです(笑)。「そんな大昔のことを持ち出してどうするのか」と喉まで出かかったのは、2度や3度ではありません。

介護をしているか否かは別に、親と同居しているきょうだいに向けられる「疑惑の視線」にも、相当なものがあります。遺産分割協議で揉めた時、それこそ何十年も前の自分の七五三のお祝いで撮られた、セピア色の写真を持ってきた方がいました。そして、「この時に母が着ていた、この着物はどうしたの?」と、同居のきょうだいに迫るのです。遠の昔に本人が売り払ったか、残っていても一文にもならないだろうことが、一目瞭然なのに……。そこまでやる執念には、驚かされました。

やはり遺産分割で争いになり、「母の形見の品が……」と言うので、「では、形見分けしてもらいたい財産を、リストアップしてください」とお願いしたら、こまごまと50近くも書いてきた人もいましたね。とても「財産」と呼べるようなものではありませんでしたが、要は、いろいろ金目のものが実家にはある(あった)はずだ、というデモンストレーションなのでしょう。もつれた感情は、人間にそこまでやらせるわけです。ところが、紆余曲折を経つつも遺産分割に結論が出たとたん、形見の話など消えてなくなるのだから、不思議なものです。
まずは、相手の声を聞く

私には、そうしたトラブルの相談に乗る時に心がけていることがあります。当たり前のことのようですけど、まずは目の前にいる人の言いたいことを、よく聞くこと。不満があれば、それをすべて吐き出してもらいます。感情が先に立っている諍いでは、その背景に何があるのか、本音では何を考えているのかを理解しないと、なかなか前には進めないのです。

そのうえで、そうした「思い」が、法律上認められることなのか、譲歩の条件は何なのか、あるいは、このまま遺産分割協議が整わないとどんな問題が発生するのか(例えば、相続税を多く取られる)といった、現実の問題を提起して、考えてもらうことにしています。まあ、それでも解決には至らず、家庭裁判所による「調停」、さらには「審判」(これらについては、次回お話しましょう)へ、ということも少なくはないのですけど。

ところで、前回、私には夫の親を介護した経験があり、その厳しさ、辛さは身をもって理解している、と言いました。介護への貢献をめぐって、相続が揉めているようなケースでは、そうした実体験を生かすこともあります。

「あれだけ介護したのに、遺産がもらえないのはおかしい」という方には、「気持ちは、痛いほど分かります」と話して、とりあえずヒートアップした心を解きほぐしてもらう。反対の立場の人の依頼を受けた場合には、「私の体験ではね……」と介護の実情をお話して、理解を求めたりするんですよ。

とにかく、持てる知識も人生経験も総動員して、「争続」を防ぐ、収める。それが私たち「相続のプロ」の一番の仕事かな、と思っています。
カテゴリ:遺産分割
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