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揺れる心の反映か。複数の遺言書が出てきたら……
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莫大な資産を残して父が他界、遺言で、その大半は長男へ。と思っていたら、別の遺言書が出てきて、長女が高笑い――。テレビドラマでよくあるパターンは、現実の世界でもわりと頻繁に起こることのようです。ご存知のように、遺言書は日付の新しいほうが有効。でも、中には、ちょっとアヤシイのもあるようです。税理士の遠山順子先生に聞きました。
「遺言能力」が問題になることもある

私が扱った案件の中に、こんなケースがありました。すでにお父さんは亡くなり、母と、長男、長女の家族。息子に子どもはなく、家の「跡取り」は長女の息子、ということになっていました。母親の面倒を長女がみることもあり、母は長女に厚く遺産を相続させる公正証書遺言(遺言内容を公証人が記す遺言書)を作成していました。

ところが、その母が、父の死後すぐに認知症になり、施設に入ってしまいました。けっきょく、娘はほとんど母の介護をする必要がなかったんですね。

そうなると、面白くないのは長男です。母のいる施設に出かけ、新しい自筆の遺言書を書かせました。自分に有利に、というのではなく、「以前の遺言書は、夫に無理やり書かされたもので、私の本心ではありません。遺産相続については、相続人間でよく話し合ってください」という内容でした。

公正証書であろうが自筆だろうが、遺言書に関しては、日付の新しいものが有効です。ただ、この場合は、認知症が疑われる母親に「遺言能力」(遺言が可能な判断能力)があったかどうかが問題になりました。長男は、施設の医師による診断書やカルテを証拠に、「能力はあった」と主張しましたが、訴訟になって、現在も係争中です。

遺言書を「偽造」すると、どうなるか

このように、2つ以上の遺言が作られることは、珍しくありません。「人の心は移ろいやすい」と言いますけど、娘が父親の墓参りに行ったと聞いただけで、「先生、遺言書を書き換えて、娘にたくさんあげたいんです」とやってくるような方が、少なからずいらっしゃいます。

そうかと思えば、こんなケースもありました。長女に有利な内容の書かれた母親の公正証書遺言のわずか十数日後に、次女に有利な自筆証書遺言が作られていたんですね。長女は、遺留分減殺請求(相続人として法的に最低限認められた相続分を、返すよう求める請求)を起こしたのですが、その件に関して、私は次女のほうから相談を受けたのです。

ところが、最初の公正証書遺言を見て、「おや?」と思いました。本来自署するはずの氏名欄の部分に、なんと「遺言者が病気で字を書けないため、代筆する」という公証人の但し書きがあったんですね。この方も、やはり認知症気味だったようですが、書けなかった字が10日ほどで書けるようになるというのは、いかにも不自然です。私は、依頼を丁重にお断りしました。

仮にですが、この依頼者が遺言を偽造していて、それが発覚したとしたらどうなるか? 相続人欠格事由に該当するため、その時点で相続人としての立場は剥奪です。その場合は、遺留分減殺請求もできません。このサイトを読むような方に、まさかいないとは思いますが、ルールを破ったツケは小さくない、と認識してください。

さて、今回出てきた、公正証書遺言と自筆証書遺言。その違いなどについては、次回のこのコーナーでお話ししたいと思います。

カテゴリ:遺言
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