遺言書に“きつい”一言。それを目にした相続人は…… ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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遺言書に“きつい”一言。それを目にした相続人は……
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被相続人が、相続人に対して最後の言葉を残す遺言書。そこには、財産分割の仕方などの他に、「付言事項」として、残される家族に対する思いを自由にしたためることができます。「今までありがとう」といった感謝の気持ちを伝えたりするのが一般的ですが、税理士の小林清先生は、相続人に対して厳しい言葉を並べた遺言書に出会ったことがあるそうです。
長男に「すべて」を譲る、農家の相続

特に農家の方には、今でも「家督相続」的な考えを持っている方が、大勢いらっしゃいます。財産のほとんどを長男に譲って、「その代わり家業を守れ」というスタンスですね。私の担当した案件で、こんな例がありました。

子どもは、長男、次男、長女の3人兄弟。被相続人となるお父さんは、先祖代々の例にならって、「家督」を長男に渡したい、という意思を持っていました。土地を含めて、相続財産は10億円ほどになりましたが、妻に残す分以外の大半は、長男が受け取る内容の遺言書を準備していました。

こういう「家」にとって、嫁に行った娘は「他家の人間」。渡すのは「判子代」ぐらいで、実際、娘さんの相続額は1000万円程度だったと記憶しています。前にこのコーナーで述べた「法定相続分」(民法に定められた遺産の取り分、このケースでは2分の1÷3=6分の1)はおろか、「遺留分」(あまりにも相続人に不利益な事態を防ぐために、やはり民法で定められた、兄弟姉妹を除く相続人に保障された遺産の取り分、このケースでは4分の1÷3=12分の1)にも、遠く及びません。さすがに相続の段になって若干、揉めましたが、娘さんも「農家はそういうものだ」と分かっている方だったので、大きな争いには発展しませんでした。

さて、問題は次男です。こちらは「分家」扱いですから、やはり長男とは相続額に大きな差の付くことが珍しくないのですが、まあそれでもケタ違いにバランスを欠くということは、今ではそんなにないと思います。ところが、待遇は娘さんとほぼ同じ。そこには、ちょっとした事情がありました。

実は、次男の方は事業を起こして失敗し、その負債の面倒などを、親が丸ごとみていました。自分の土地に次男用の家を建て、住まわせてもいた。にもかかわらず、息子は仕事が長続きせず、という状態。「あいつには十分してやったから、もういいんだ」というのが、お父さんの考えだったのです。

息子を目覚めさせた「最後の手紙」

とはいえ、金銭的な面だけ考えれば、次男への援助額を割り引いても、遺留分くらいは渡すのが「妥当な線」でした。次男にも、主張しようと思えばできるだけの根拠はあった。でも、彼はそれをしませんでした。

効いたのが、父親が残した遺言書の「付言事項」に書かれた文言でした。なんとそこには、息子に対する、厳しい戒めの言葉が記されていたんですね。「会社を潰したのは仕方のないこととして、それからいつまで経っても、独り立ちしようとしない。お前に財産を譲らないのは、そのためだ」といった内容です。

次男の方と、「この相続でいいですか?」と話をした時の、彼の言葉は印象的でした。「金のことで親に迷惑をかけたのは分かっています。でも、親父がこういう目で自分を見て、ある意味苦しんでいたとは、思いませんでした」とおっしゃったのです。遺言でそんなことを言われれば、ショックを受けない人はいないでしょう。この方もそうでしたけど、もしかしたらそれは、彼が自分を見つめ直す機会になったかもしれません。

こうした、「率直な」言葉を遺言書に残す方は、たまにいらっしゃいます。弁護士さんなどと話をすると、「あんなことを書くから、争いになるんだ」といった事例に接することもあります。でも、人生の最後に家族に残す言葉なのですから、「どうしても言いたいことは言う」で、いいのではないでしょうか。「先生、どうしましょうか?」と相談を受けたら、私は、基本的にそういうアドバイスをすることにしています。

カテゴリ:遺言
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