「うちは揉めないから大丈夫」が危ない ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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「うちは揉めないから大丈夫」が危ない
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遺産相続についての被相続人の意志を示し、相続人たちが争いを起こしたりしないようにするために、ぜひ遺言書を書きましょう――。相続についての書物や記事は、例外なくそう勧めます。でも、実際に遺言書を残す人は、まだ少数派なのが現実。「子どもはみんな仲がいいし、うちに限って相続で揉めるなんてことはありえない」と考える人も多いようです。その通りだったら問題はないのですが、往々にして、親の思惑を超えた事態の起こるのが相続。税理士の高橋正光先生に聞きました。
長男が「家督」を継いで当然、だったはずが……

「先祖代々、相続なんかで揉めたことはない」と豪語していた男性がいました。奥さんは、すでに亡くなっていて、子どもは、同居する長男と、自営業の次男、お嫁に行った娘の3人。自ら事業を営む傍ら、いくつか不動産賃貸物件も持っていて、現預金を合わせた財産は2億円程度ありました。でも、80歳を超えるご高齢になられたので、「そろそろ遺言書の作成を考えませんか?」とお話ししたところ、「そんなものは、必要ない」とおっしゃったのです。

財産は、すべて事業を継ぐ長男に譲る、というのが、お父さんの考えでした。「うちは、代々そうしてきたんだ」というわけです。聞けば、次男には家の購入資金を援助しており、娘さんの嫁ぎ先はお金持ち。「子どもたちは仲が悪くないし、ずっと『財産は長男に継がせる』と教育してきた。わざわざ遺言書をしたためるまでもない」ということだったのですが……。お父さんが他界し、相続になるや、すぐに揉め事になってしまったんですよ。

「発火点」は、次男の方でした。実は、事業がうまくいっていなかった。相続になったのは、少しでも多くお金を必要とするタイミングだったんですね。彼は、当然の権利として、法定相続分である「遺産の3分の1」を要求したのです。

しかし、長男にとっては、寝耳に水の事態でした。「『財産はすべて長男が譲り受け、守っていけ』という親父の話に、納得していたはずだ」と反発。「事業を継げば、同時にリスクや責任も背負い込むことになるんだ」というのも、遺産を「平等」に分けることに納得のいかない理由でした。

そうやって遺産分割協議がこじれると、最初は「長男に従う」姿勢を見せていた娘さんの態度にも、だんだん変化が表れ始めました。「考えてみれば、私にももらえる権利がある」という姿勢で、協議に臨むようになったのです。結局、「先祖代々、揉めたことがない」この家の相続は、裁判という「争続」に発展し、2年以上経った今も係争中です。

「遺言書を書かないリスク」もある

この場合、仮に次男の事業が順風満帆だったら、こんなことにはならなかったかもしれない。それくらい、被相続人が想定しえないような「相続人の事情」が、遺産分割協議の様相を大きく変えてしまうこともあるんですね。そうしたことも、これから相続を控える方々には、十分認識してほしいと思うのです。

この場合、お父さんは、やはり遺言書を残すべきでした。内容は、前回もお話しした「遺留分」に留意したものにする必要があります。相続人が、最低限受け取れる遺産が遺留分で、この場合は、法定相続分(3分の1)の半分の、6分の1になります。次男にも娘にも、その遺留分の相当額は相続させる、という遺言書を書いておけば、少なくとも「法定相続分だけほしい」という話で揉めるのは、避けられたはずなんですね。

遺産相続のもつれは、本当に洒落になりません。争いになった結果、父親の1周忌にも、兄弟が集まることはありませんでした。「ちゃんとした遺言書を残さなかった」ツケは、あまりにも大きなものになってしまいました。

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