「まずビジネスありき」の誘いには、注意が必要 ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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「まずビジネスありき」の誘いには、注意が必要
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相続は、不動産業、建設業などの業界にとっても、ビジネスチャンス。どこで知ったのか、「不動産の売却は、当社にお任せください」なんていう電話がかかってきたりもします。それが、ハッピーな相続につながればいいのですが、場合によっては、話に乗ったために、相続人同士の争いに発展するようなこともあるようです。税理士の仁科忠二郎先生に聞きました。
税理士にもビジネスチャンス

「相続をビジネスにしている人が、世の中には数多くいる」。こんなことを言うと、「税理士がそうじゃないか」と返されそうですね。まさにその通り。今年1月の相続税の税制改正により課税対象者が増えたのは、我々にとって、間違いなくビジネスチャンスの拡大です。

ただ、ビジネスには「相談者の利益を第一に考える」という大前提がなければなりません。そういう観点に立つと、やや心配な状況も生まれているように思うのです。

特に、地域の名士や政治家、お医者さんのような方が高齢になったり、亡くなったりすると、どこで聞いたのか、不動産や建設業者の方が、必ずといっていいほど「接触」してきます。「相続税対策でマンションを建てませんか」「納税資金のために、土地を売りませんか」という話をするためですね。

もちろん、そうした方々が、みんな悪意を持って儲けようとしている、などとは言いません。ただ、少なくともその「セールストーク」の巧みさは、税理士の比ではないんですね。しかも、不動産業者が相続人のAさんに、「相続税を減らすのは、この手です」と言い、また別の建設業者がBさんに、「こうすれば、あなたが一番得をします」と話すようなこともあります。こうなると、相続人AとBが、それぞれ別の「知恵」をつけて遺産分割協議の場に出てくるわけで、揉める原因になります。お互いに「これが正しい」と信じ込んでいますから、折り合いをつけるのが難しくなるのです。

埼玉の業者が、神奈川の物件に

これは、必ずしも依頼人の不利益になったかどうかは不明なのですが、彼らの商魂たくましさを目の当たりにした経験が、私にはあります。

相続人は男3人兄弟で、依頼人である長男は、東京の大田区在住。被相続人のご両親は、神奈川県に住んでいました。私もそうですけど、息子は娘と違って、親とあまり連絡を取り合ったりはしないでしょう。ご両親は、いわゆる老老介護の末、相次いで亡くなられたのを死後に発見された、というパターンでした。ただ、けっこう資産家で、東京都内と神奈川県に3つずつ、不動産を持っていました。

さて、相続税の申告書も遺産分割協議書も作成してほしい、というので契約を交わし、不動産の調査などに入った矢先、なんと全く関係のない埼玉県の小さな不動産屋さんから、「その物件のことで話がしたい」という連絡が入ったのです。何だろう、と不思議に思って会ってみると、どこで調べたのか、亡くなった方の資産にやけに詳しいのです。

数日後、今度は依頼人から、「契約を破棄したい」という申し出がありました。その埼玉の不動産屋さんが懇意にしている税理士に「乗り換える」というのです。事務所としては残念な事態ですが、仕方がありません。

おそらく、「不動産物件が多いので、それに強い税理士がいいですよ」という話をされたのではないでしょうか。ご両親の亡くなり方だと、自宅の処分も簡単にはいかない。「こういうケースは、専門家にお任せください」といったメリットを強調したのかもしれません。当事務所も、「不動産に強い」という自負は、十分にあるのですが(笑)。

さきほども述べたように、この案件がその後どうなったのかは、知る由もありません。確かに、「不動産サイド」に任せれば、物件の処分などはスムーズに進むかもしれません。ただし、そこには「業者の利益」を優先する、という動機が働きやすいのも事実。勧められるまま、相続税対策で賃貸マンションを建てたものの、収益が挙げられず悲惨な目に遭った、などという話も耳にします。

甘言には惑わされず、冷静に。それも「失敗しない相続」の秘訣だと思います。

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