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遺産を「隠して」申告すると……
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今年1月の基礎控除額引き下げにより、課税対象者が増え、さらに「増税」となった相続税。「以前の基準なら、払わなくてもよかったのに」と、割り切れない思いを抱える人も少なくないでしょうが、当然のことながら、申告は正しく行う必要があります。間違えたり、ましてや故意に遺産を隠して申告したりすれば、大きなしっぺ返しを食うことも。税理士の仁科忠二郎先生は、こんな実例に出会ったことがあるそうです。
「兄が遺産を隠している」

被相続人は父親、母親はすでに亡くなっており、相続人は長男、長女、次女という相続で、こんなことがありました。依頼人の長女が、「兄が父の財産を隠しているのではないか」と言うのです。父親と同居していた長男の書いた「遺産のリスト」が、どうもおかしい、と。聞けば、亡くなる2年前に土地を売却しているし、預金の額があまりにも少なすぎるようなんですね。

そこで、各銀行の預金残高を調べてみました。すると、まず分かったのは、被相続人があちこちの金融機関に、分散してお金を預けていたこと。長男以外は、知らない事実です。このように、相続人の知らない銀行口座が、相続になって初めて明らかになるのは、珍しいことではありません。注意しないと、それに気づかずに申告漏れが発生することもあります。

時間をかけて調べた結果、長女の方のおっしゃることは、「正解」でした。結局、遺産総額は兄の「申告」の3倍近くに達することが分かったのです。

説得に応じなかったツケ

私のクライアントは、あくまでも長女です。しかし、相続においては相続人全体の利益を考えるのが、税理士の役目。そう考えた私は、長男の説得に乗り出しました。「正しい遺産総額で申告しましょう」「追徴課税になったら、損しますよ」と、何度も話をしたのです。

ところが、この方は、「3分の1の遺産」をベースにして、自分の分だけを勝手に申告してしまいました。申告期限(被相続人が亡くなったから10ヵ月)内に遺産分割協議が成立せずに、相続人が個々に申告する、といったアブノーマルな状況を除けば、相続税の申告書は、相続人が共同で提出するのが基本なのにもかかわらず、です。

仕方なく、長女と次女の申告のみ、私のほうで行いました。もちろん、「正しい」遺産額による申告です。結果的に、税務署の手元には、遺産総額の異なる2枚の申告書が渡りました。当然、すぐに税務調査が入り、あえなく長男の嘘はバレてしまいました。

税金を少なく申告していると認められた場合、ペナルティーはどのくらいになるのでしょうか? 申告額を間違えた場合などには、新たに納めることになった税金の10~15%の「過少申告加算税」がかかります。これが、二重帳簿の作成、帳簿などの隠匿、虚偽記載、改ざん、税務調査での虚偽答弁――といった「仮想隠蔽」の場合には、同じく35~40%の「重加算税」となるのです。このほか、延滞税という、高率の利息相当額も支払わなくてはなりません。

結局、彼はこれらをすべて負うことになりました。お金も痛かったでしょうが、妹たちの信用を一気に失ってしまったことは、取り返しのつかない傷になってしまいました。

ここまでやる人は、そうはいないかもしれません。ただ、さっきも言ったように、意図せず「申告漏れ」になるケースもあります。これまで対象となった財産には、①遠い昔に買った不動産②昔住んでいたところで作った銀行口座③共有名義の銀行口座④タンスの下から出てきた個人間の貸付証書や不動産の権利書⑤海外の不動産⑥知人や同族会社への貸付金――などがあります。注意してください。

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