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相続人以外の「発言権」が争いのタネに
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遺産相続の権利を持つのは、当然のことながら相続人のみ。しかし、実際の遺産分割協議では、相続人の配偶者などが陰に日向に影響力を行使して、その結果、円満な話し合いを難しくすることも少なくないようです。「遺産分割協議に、相続人以外の人間の意見を持ち込むべきではありません」と、税理士の仁科忠二郎先生は言います。
無関係の嫁が主導権を

一昨年申告した相続に、こんな案件がありました。見事な「先生一家」で、亡くなった父もその妻も、長男、長女、そしてそれぞれの配偶者も、すべて大学教授か進学校の教師、という家柄でした。私は、以前から、所得税の申告などを任されていました。

お父さんは、資産も半端ではなく、長男夫婦と同居する豪邸のほかに、賃貸マンションや駐車場などの不動産が、10ヵ所以上。預金など、他の資産と合わせて、遺産は10億円を下らない規模です。

結論から言うと、今回の遺産分割協議自体は、表立って揉めることはなかったんですよ。不動産は、ほとんどを長男が相続し、現預金は3人の相続人で分配する、という中身。お母さんも、裕福な家にお嫁に行った長女の方も、不服はありませんでした。ただ、遺産分割協議では、ハラハラさせられる局面が、多くありましたね。

ポイントは、「長男の嫁」です。実は、妻は本を書いたり講演をしたりと、長男の3倍近くの収入を得ていました。夫婦の関係もそれに比例しているかのようで、夫は見るからに気弱な「学者タイプ」で、やり手の妻に逆らえない感じが、ありあり。

遺産分割協議が始まると、その夫婦関係が露骨に顔をのぞかせるようになりました。一番驚いたのは、最初にお母さんとご長男に呼ばれてご自宅にうかがった日、いきなり目の前に相続税のシュミレーションをした申告書らしきものが出てきたこと。お嫁さんが懇意にしている税理士さんが作成したものだ、ということでした。お母さんは「あくまでも参考です」とおっしゃっていましたが、お嫁さんからは、他の相続人に、「こちらの税理士のほうが相続税を安くできるから、変えましょう」といった話があったのかもしれません。そうすれば、少しでも、自らに有利に事が運べる、と考えたのではないでしょうか。

ついに遺産分割協議の場に

その後何回か説明にうかがった時にも、息子さんの後ろには、お嫁さんの影がチラチラしてましたね。ご長男の口から、一般の人があまり知らないような「小規模宅地の特例」なんていう単語を聞くと、「ああ、お嫁さんとお嫁さん側の税理士に、吹き込まれたんだな」と感じたものです。

そしてある日、ついにお嫁さんが遺産分割協議の場に出てきたのです。さすがにまずいと感じた私は、「これから〇〇家のすべての資産について公開しますが、相続人以外の方がいてよろしいのですか?」とお話しし、結果的には、席を外していただきました。

協議を通じて、長男サイドから、「自分の取り分をもっと多く」といった話が出ていたわけではありません。もしかすると、お嫁さんの本意は、「相続税が心配だから、遺産の全貌を知っておきたい」というところにあったのかもしれません。でも、どんな思いがあったにせよ、彼女は相続人ではないのです。

ただでさえ、家族の微妙な人間関係が絡まり合う遺産相続に、相続自体には「無関係」なはずの人が入り込めば、揉めるリスクが増えるだけ。「遺産相続の話し合いは、相続人同士で」。相続人の配偶者の方も、そして相続人自身も、そのことを肝に銘じてほしいと思うのです。

さて、この一家の“火種”は、実はそれだけではありませんでした。不動産のほとんどすべてが、「共有名義」になっていたのです。次回は、その問題点についてお話ししたいと思います。

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