相続税調査の「簡素化」に乗り出した税務当局。キーワードは「書面添付」 ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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相続税調査の「簡素化」に乗り出した税務当局。キーワードは「書面添付」
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今年1月から、基礎控除が4割引き下げられたのに伴って、相続税の申告件数、課税対象者が大幅に増えました。当然、申告を受ける税務当局の仕事量も増加。そこで当局は、そうした状況に対応するため、昨年から相続税調査の「総点検」、すなわち簡素化に取り組んでいるそうです。クローズアップされているのが、「書面添付事案」への対応。どういうことなのか、税理士の木村智行先生にうかがいました。
首都圏では、4割以上が相続税を申告

今年年初からの相続税の基礎控除の引き下げにより、従来は4%程度だった課税対象者が、6~7%まで拡大する、といわれます。ただし、これは全国平均のお話で、地価の高い都市部では、このパーセンテージは当てはまりません。首都圏(東京国税局管内=東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)では、課税対象者は、従来の約7%から15%程度まで高まるものとみられています。

なおかつ、例えば、「小規模宅地の特例」といった税の軽減措置は、申告しないと受けられません。その結果、相続税がかからなかった人たちも含めると、首都圏で相続税の申告を行う人は、全体の20%程度から、今年以降は44%にまではね上がる、といわれているのです。

首都圏では、2人に1人に近い比率で申告しなければならなくなるわけですから、大変です。でも、「仕事」の増えるのは、納税者だけではありません。そうした申告を受ける税務署の負担増も、非常に大きなものになるんですね。そこで、そうした状況を見越して、当局は、昨年の秋、「相続税調査の総点検」に乗り出しました。

相続税調査の簡素化へ「書面添付制度」を活用

各種報道などによれば、今年1月からの課税ベースの拡大を控え、当局は申告内容の見直し、実地調査選定基準の見直し、実地の調査以外の接触手法の活用、申告前の自己点検手法の積極的な活用――などが、その具体的な取り組みとして挙げられています。このうち、「申告前の自己点検手法」としてクローズアップされているのが、税理士法33条の2に定められた「書面添付」事案への取り組みです。従来からある「書面添付制度」をさらに積極的に活用して、税務調査の効率化を図ろうというわけです。

簡単に制度の仕組みを説明しましょう。実は、相続税の申告書には、「各項目について、どのような資料に基づいて検討・判断したのか」といったことを税理士が記載した、文書を申告書に添付することができることになっています。ざっくりいうと、税理士が申告書についてお墨付きを与えるものともいえます。申告を受けた当局が、「税務調査の必要があるのでは」と判断した場合、この書面添付があると、調査に入る前に書面を記載した税理士に対して、同じく税理士法35条に定められた「意見聴取」を行うのです。ちなみに、書面添付がなければ、即、調査に入ることになります。

意見聴取では、当局が申告審理などで把握した疑問点を税理士に示し、それに対する税理士の意見陳述を行いますが、今後は必要に応じて、自発的な見直し、修正申告の提出を要請する「行政指導」が行われることになるようです。

また、疑問点が解消され、調査の必要がないと判断された場合には、税理士に対して「現時点では調査に移行しない」旨の通知が行われるのです。

税務当局にとっては、わざわざ調査に出向いて時間とエネルギーを使わなくても、申告の「誤り」を正すことができる、場合によっては「無駄足」を防げるわけですね。猫の手も借りたい状況下で、この制度を積極活用しようという意図は、よく分かります。

同時に、申告する側にとっても、うまく使えば、「税務調査を、より確実に回避することが出知る」というメリットがあります。次回は、その点を中心に、「書面添付制度」について、さらに掘り下げてみましょう。

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