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「書面添付」にはテクニックも要る
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相続税を申告する人にとって、税理士の“お墨付き”が得られる「書面添付」には、大きなメリットがあります。ただし、実際に添付されている申告書は、まだほんの僅かしかありません。そこには、「税理士の側の事情」も大きく影響している、と税理士の木村智行先生は言います。
活用しているのは、全体の数%?

「書面添付」とはどんなものか、そのメリットは何か? について、3回にわたって述べてきました。では、相続税の申告の際、実際にはどのくらい活用されているのでしょうか?

法人税に関しては、約7%の申告書に書面が添付されている、という統計があります。でも、相続税に関しては、正確な数字はありません。恐らく、法人税よりはかなり低いでしょうから、2~3%、いや、もっと少ないかもしれませんね。いずれにしても、「相続税申告書の書面添付」は、現状では極めて少数にとどまっている、ということです。そもそも、書面添付について正確に知っている方は、税理士でもあまり多くないというのが実情でしょう。

税務調査を回避するうえでも有効なのに、なぜそんな状況なのか? その理由は、主として、書面を記載する立場の税理士の側にある、と感じます。

「書面添付ができるかどうか」は、税理士選びの一つの基準

前回、もし自らが書いて、申告書に添付した書面にミスがあれば、税理士は法的なペナルティを課せられる可能性がある、と言いました。このことが、書面添付を躊躇させる一因になっているのは、確かだと思います。書面添付は、申告を依頼する相続人にとっては、いいことづくめ(頼んだ先生によっては、「追加料金」を請求されるかもしれませんが)。一方、書面の記載を頼まれた税理士は、決して軽くはないリスクを背負わなければならない、というわけです。

ただし、もっと根本的な問題もあります。税理士ならば、みんなが書面添付をできるわけではない、という現実があるのです。依頼人にとってメリットのある内容にするためには、やはりノウハウが必要。税務署の担当者と話すと、「通り一遍のことではなくて、具体的に踏み込んだ中身にしてほしい」といった要請を受けることもあります。経験がないと、それはなかなか難しいわけですね。

私自身は、法人税は7年ほどまえから、相続税については4年ほど前からの申告書への書面添付を本格的に始めています。相続の内容や、依頼人の方の希望にもよりますけど、今は請け負った相続税申告の8~9割が書面添付です。

「意見聴取」(*)も、数多く経験しています。「被相続人と相続人の預貯金が問題になりそうだ」と直感した相続では、税務署に通帳を全部持ち込んで、「被相続人から相続人への、この資金移動はこういう理由です」と、実地の税務調査に近いようなことをやったこともあります。2時間近くやり取りしましたが、それで税務調査は行われず、調査省略通知を頂きました。

前にも述べたように、税務当局は、この書面添付制度を活用して、税務調査の簡素化を図ろう、という姿勢を明らかにしています。そういう流れに上手に乗るのも、「賢い相続」ではないでしょうか。我田引水に取られると困るのですが、「書面添付を頼めるか」は、相続の申告を任せる税理士を選ぶ際に、一つの基準になると思いますよ。

*意見聴取 税の申告書に書面添付が行われていれば、税務署は税務調査に入る前に、書面を作成した税理士から意見聴取を行う。その結果、申告に対する疑問が解消されれば、調査は行われない。国税庁は事務運営指針を改正し、意見聴取後に提出された修正申告にかかる加算税を適用しないこととしており、平成25年1月1日から運用されている。

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