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「名義預金」か「贈与」か。単純ではない“損得”の分かれ道
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ある人が、妻や子どもの名義の通帳を作り、「将来のために」と預金をするのは、珍しいことではないでしょう。ただ、そのことを名義人が知らなければ、それは相続の際には、「名義預金」とされ、被相続人の相続財産とみなされます。一方で、税務署は、そうしたお金について、「お父さんから、贈与を受けたのではないのですか?」と聞いてくることも。そのカラクリ、注意点について、税理士の 木村智行先生にうかがいました。
当局に「狙われ」やすい、「名義預金」だが

「名義預金」と「贈与」の違いについて、最初に簡単に述べておきましょう。

被相続Aさんが、家族Bさんの名前で預金していたけれども、そのことをBさんが知らなかったら。「名義預金」。通帳に記された名前は「借りている」に過ぎず、実質的な所有者はAさんであるとみなされます。一方、Aさんに、「Bさんにお金を渡す」意志があり、Bさんにも「Aさんからお金をもらう」意志があったなら、それは「贈与」になります。

「名義預金」は、あくまでも被相続人の財産です。通帳の名義は家族であったとしても、そこに記載された金額は、相続税算定のベースになる相続財産に含めなければなりません。ところが、被相続人の名義ではないため、「漏れ」が起きやすく、税務調査で「申告されていませんよ」と指摘される預貯金のかなりの部分は、この名義預金が占める、ともいわれているんですよ。

ところで、こうしたケースにおいて、税務調査に入った税務署の担当者から、「これは贈与ではないですか?」と「確認」されたりすることがあります。名義預金と贈与のわけも分からずに「はい」と答えると、思わぬ“損”を被ることもありますから、注意が必要です。

相続税より贈与税のほうが、税率の高いケースが多いんですね。税務当局にしてみれば、名義預金を相続財産に加えて追徴課税するよりも、贈与税を課したほうが、“実入り”が多くなるわけです。なお、亡くなった日から3年以内に贈与された財産は相続財産に加算され相続税の対象となりますので、この点は注意が必要です。

私の担当した案件にも、調査に入った税務署から、被相続人から相続人への資金移動を「贈与ではないか」と指摘されたケースがありました。でも、贈与の場合には、さきほど述べたような「あげる」「もらう」という両者の意志がなければなりません。このケースでは、「意志が確認できないではないか」「あくまで名義預金の漏れである」という理屈を押し通した結果、我々の主張が認められました。

「贈与が有利」なこともある

ただ、すべての相続について、今のやり方が「公式」のように当てはまるかというと、さにあらず、だからややこしい。名義預金にすると、税金を多く払わなければならなくなることもあるんですよ。

今年1月以降、相続税の最高税率(相続財産6億円超の場合)は、55%まで引き上げられました。相続財産が多ければ、そこに加えられる名義預金にも、そうした高率の税金が課せられることになります。贈与税も、最高税率は55%ですが、例えば1000万円までだったら、税率は30%ですみます。

結論を言えば、名義預金と贈与のどちらが“得”なのかは、遺産総額や移動した資金の金額などにより、ケースバイケースなのです。税務当局は、案件ごとに両者を天秤にかけ、「指摘」を使い分けてくるわけです。

もちろん、「正しい申告」をしなければいけません。でも、少なくとも「無知」だったために、払わなくてもいい税金を払わされるのは、避けたいもの。ただし、このレベルの話になると、素人が「徴税のプロ」に立ち向かっても、勝ち目はないものと思ってください。やはり、相続に強い税理士の力を借りるべきでしょう。

カテゴリ:贈与
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