ポイントは、「自社株をどうするか」 ~賢い事業承継を考える①~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

トップページ > 遺産相続 「先生 教えて !」 > ポイントは、「自社株をどうするか」 ~賢い事業承継を考える①~

ポイントは、「自社株をどうするか」 ~賢い事業承継を考える①~
vol.080img
経営者が、営んでいる事業を子どもなどに継がせる「事業承継」。それも大事な相続対策です。例えば、被相続人の持つ自社株が、相続の際、複数の相続人に「分割」されるような事態になったら、会社の安定的な経営を維持するのが難しくなるかもしれません。そんなことにならないよう、早いうちから手を打っていく必要があるのです。とはいえ、実際に何から手を付けていいのか分からない、という方も多いのでは。経営者なら、誰しも頭を悩ます事業継承について、7回にわたり、公認会計士・税理士の田上敏明先生に、自らが扱った事例なども含めてお話しいただきます。
「誰が継ぐのか」によって異なる事業継承のやり方

事業継承にとって“肝”になるのは、自社株です。株は、その会社の経営権の裏打ちになるもの。それを、「次期社長」に円滑に譲渡できるかどうかは、事業継承の成否を分ける、と言っても過言ではないんですね。株主総会で、経営の重要事項を決議できる割合は、3分の2以上。できれば、経営を継ぐ人が、それだけ保有することが理想であることは、言うまでもありません。逆に持分が50%を割り込むと、他の株主によって取締役を解任される可能性さえ生じてしまいます。

にもかかわらず、私の経験上言わせていただくと、事業継承の重要性をしっかり認識して動いている経営者の方は、まだ10人に1人というのが実感です。「税理士の先生にいろいろ言われるし、頭では分かっているのだけれど、毎日忙しいしなあ」という状態で、気が付くと1年、2年と時間が経っている、というパターンが非常に多いのです。「それでは、後々苦労することになるかもしれませんよ」ということを、最初に強調しておきたいと思います。

さて、本題に入りましょう。事業継承とひとことで言っても、会社や経営者の家族が置かれている状況は、千差万別。ベストないしベターなやり方というのも、当然、それによって違ってきます。目を向けるべきなのは、ズバリ「誰が継ぐのか」、そして「何を継ぐのか」。この2つのファクターを基に、事業継承の方法を整理してみることにします。

「経営権」と「財産権」を分ける

まず、会社=自社株を「誰が継ぐのか」。これには、子どもなどの親族が継ぐ場合と、そうでない場合があります。

息子なり娘の夫なりの親族が継ぐ場合。これにも、いくつかのパターンがあるんですね。その人が、経営者としての能力を十分に備えている場合には、基本的に、純粋に株を贈与すれば足りるはず。しかし、入社はしたもののまだ経験が浅く、トップとしての適性が未知数なこともあるでしょう(私は、その状態を「過渡期」と呼びます)。あるいは、子どもがまだ幼少のこともある。こうした、後継候補が幼少だったり、「過渡期」にあったりする場合に、それでも株は渡しておきたい、という時には、どうしたらいいのでしょう?

ここで一つのポイントになるのは、自社株について、「経営権」と「財産権」を分けて考える、ということです。例えば、後継候補者には、まず「財産権」としての株を渡す。そして、その人の成長を見極め、「行ける」となった段階で、「経営権」のほうも譲渡するのです。このやり方であれば、もしお眼鏡にかなわなかったら、別に後継者を探して、経営権はそちらに渡すことができます。「社長の資質がない息子に経営権を渡したばっかりに、家業が傾いてしまった」といった事態は、それで避けられるはず。

今の「経営権」と「財産権」を分ける、という考え方は、「事業を継がない親族」をどう処遇するのか、という点にも応用できます。例えば、事業を継承しない子どもが、相続の際に「私たちにも株が欲しい」と遺留分(*)を請求した結果、事業を継ぐ長男の持ち株比率が下がってしまった、というような状況は、経営にとって好ましい事態ではありません。

この場合でも、会社を継がない相続人には、「財産権」のみを渡して、「経営権」は長男に集中させることにすれば、問題は起こりにくいでしょう。このように、「経営を継がせること」と、「財産を継がせること」を分けて捉えるのには、大きなメリットがあるんですね。

以上は、自社株の譲渡に関する総論。次回から、具体的にどんな方法があるのかを、みていきたいと思います。

*「遺留分」は、民法で定められた、一定の相続人が最低限相続できる財産のこと。

カテゴリ:事業承継
関連記事
遺言は「争続」のもと!? そうならないためにできることは
被相続人が自らの意思を書き記す「遺言書」。それさえあれば、相続争いは起きない……と思いきや、現実には遺言書があったがために「争続」が勃発するケースが、少なくないのだそう。思いを伝えたのが原因で子ども同士がいがみ合ったのでは、故人も浮かばれません。そうならないために、最低限できることは何なのか、税理士の久野豊美先生に聞きました。
「法定相続分は、もらう権利がある」。それは確かにそうだけど……
民法では、例えば配偶者と子どもがいる場合の相続分は、配偶者が2分の1、子どもが2分の1を人数によって按分する、といった「法定相続分」が定められています。ただし、遺言書があればその内容が優先されますし、ない場合も含めて、「民法の規定に従わなくてはならない」ものでは、もちろんありません。その原則が置き忘れられ、「法定相続分はもらえて当然」という考え方が、あまりにも前面に出すぎている現状には疑問も感じる、と税理士の小林清先生は言います。
よりよい相続のために、プロが心掛けていること
支払う税金はできるだけ少なく、そして何よりも円満な相続にしたい――。税理士に相続について相談する人は、みんなそう願っているはず。では、アドバイスを送る側は、最良のサービスを提供するために何を考え、依頼者にどう接しようと思っているのでしょうか? 今回は、そんな税理士さんの心情を、税理士法人経世会の筒井亮次先生にうかがいました。
相続が得意な税理士の無料紹介はこちら