「散らばった株」買い取りの裏ワザ、「財団」の設立 ~賢い事業承継を考える⑤~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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「散らばった株」買い取りの裏ワザ、「財団」の設立 ~賢い事業承継を考える⑤~
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会社によっては、経営者の同族以外に、株主がたくさんいることもあります。そうしたケースでは、事業承継そのものや、将来にわたっての安定的な経営に悪影響を与える懸念が拭えません。ただ、そういう人たちから株を買い取りたくても、株価が高くて……。そんな時、株式の買い取りを目的とした「財団」を設立する方法があるそうです。公認会計士・税理士の田上敏明先生に聞きました。
自社株が分散するリスク

ある会社から、事業承継対策を依頼されました。従業員500人くらいの規模の会社でしたが、聞くと、従業員や元従業員で、株を持っている人が数十人単位でいたんですよ。一人ひとりが持つ株はそんなに多くないとはいえ、自社株が「分散」しているのは、経営にとって、好ましい状態とは言えません。それへの対応がメインの依頼ではなかったのですが、事業承継にとっても、決して無関係な問題ではありませんから、対応策を考えることにしました。

一般的に、同族以外の外部株主が多くいた場合、それらが結束して、経営に何らかの影響力を及ぼす可能性があります。株を同族に集中させるために、買い取ろうとしても、株価が高くて、多くの買い取り資金が必要になる場合もあるでしょう。

事業承継に影を落とすのは、こんなケースです。例えば、前々回、「種類株」や「属人株」の活用の話をしましたが、社長が持つ自社株を、普通株と総会での議決権のない「優先株」に分けて、後者を「事業を継がない子ども」に渡そう、と考えたとします。しかし、それをやると、議決権を持つ外部株主の比率が、相対的に高まることになるんですね。だから、「優先株」の発行がしにくくなってしまうかもしれない。自社株は、できるだけ経営者から分散させないのが、鉄則なのです。

買い取り機関として、「財団」を作る

株は集めたい、でも買い取りの資金には、限界がある――。そこで、私がの提案したのは、自社株の買い取り機関として、「財団」を設立することでした。そうすれば、自社で直接買い取るよりも、はるかに安く処理することが可能になる場合もあるんですよ。

前回も述べましたが、非上場会社の株価の算定には、主に「純資産価額方式」「配当還元方式」そして「類似業種比準方式」の3つがあります。財団が株の買い取りを行う時には、このうちの「配当還元方式」が適用されます。将来予測される、株主が獲得する配当に着目して算定を行うのですが、その時勘案されるのは、過去の配当。この会社の場合は、僅かな配当実績しかありませんでしたから、財団設立により、本体が買うよりも、かなりの安値で買い取る基盤ができました。少しずつですが、買い取りの成果が上がっています。

ちなみに、定款に「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会(株主総会)の承認を受けなければならない」という規定を加えれば、「株式譲渡制限会社」になります。誰かが保有する株を譲ろうと思ったら、取締役会ないし株主総会の承認が必要になるんですね。これで、例えば経営にとって好ましくない第3者に、株が渡ることは防げます。「じゃあ、別の買い取り先を」という話になった時に、買い取りのための財団があれば、「こちらで買いましょう」ということが可能になるでしょう。

カテゴリ:事業承継
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