遺産分割に活用できる~相続と生命保険④~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

トップページ > 遺産相続 「先生 教えて !」 > 遺産分割に活用できる~相続と生命保険④~

遺産分割に活用できる~相続と生命保険④~
vol.097img
相続財産といえるものは、ほとんど自宅しかないのに、複数の相続人がいる――。これも、悩ましい相続の典型です。自宅は分けられない、でも何も取り分のない相続人は納得できない、という八方ふさがりになるのは、避けたいもの。そんなケースで有効な手立てとなるのが、実は生命保険です。税理士の新村貢一先生に聞きました。
兄弟に遺留分を請求される!?

父母と3人兄弟の家族。親の財産は、長男が同居する自宅と、あとはわずかな預金だけ、という家族の相続について、考えてみましょう。わりとよくいる一家ですよね。

さて、父親が亡くなって、自宅は長男が相続することになったとします。幸い、相続税は発生しませんでしたが、母親はともかく、収まらないのは、ほとんど何ももらえなかった次男と3男です。遺産を「独り占め」にした長男に対して、遺留分減殺請求を起こしたい、という気になってもおかしくありません。

遺留分とは、民法に定められた、「法定相続人が最低限もらえる金額」のことです。例えば、父親が「すべての遺産を愛人に譲る」という遺言書を残して死んだ場合、相続人が重大な不利益を被る、といった事態を想定した制度なんですね。

相続人が「配偶者と子ども」の、このケースでは、遺留分は4分の1ずつ。子どもは3人いますから、さらに3等分して、次男、3男の取り分は、それぞれ12分の1ということになります。自宅の評価額が5000万円だったら、一人およそ420万円。もし遺留分を請求されたら、それだけのお金を支払わなくてはなりません。相続を受けたといっても、もらったのは家だけ、という長男にとっても、キツイ話ですよね。

そんな場合にも使えるのが、生命保険なんですよ。そう聞いて、「分かった、次男と3男を受取人にした保険に入っておけばいいんだ」と考えるかもしれません。しかし、それでは「不十分」なのです。

前にもお話ししたように、生命保険の保険金は、相続財産にカウントされません。遺産分割協議は、保険金抜きで、あくまでも自宅と預金という本来の相続財産をベースに進められるのです。ですから、次男と3男は、保険金を受け取ったうえで、さらに遺留分を請求することも、法律上は許されるわけ。「長男の危険」は去りません。

「代償分割」というやり方

そこで勧めたいのが、生命保険を活用した「代償分割」です。「一人または数人の相続人が、代表して遺産のすべて、または大部分をいったん受け取った後、他の相続人に対して自己の財産から代償財産を渡す」というのが、代償分割の定義。さっきのケースだと、長男が自宅を相続した後、次男、3男に対して、納得できる金額を「代償金」として支払うのです。

当然のごとく、ここでポイントになるのが、長男にそれを実行できるだけのお金があるか、ということ。そこで、次男、3男ではなく、あえて長男を受取人とする生命保険に入るんですね。そうしておけば、長男は、被相続人が死亡して相続が発生するタイミングで、代償金の「原資」を手にすることができるわけです。

このように、生命保険は、「遺産分割のツール」としても使えるのです。もう一つ例を挙げておけば、「寄与分」(*)の支払いに、生命保険を充てる手もあるんですよ。

寄与分は、相続人の全員の協議で認めるため、実際には揉めることも多いわけです。でも、被相続人が契約者となって、寄与分を渡したい人を受取人とする生命保険に加入しておけば、その人に確実に「財産」を残すことができるのです。

*寄与分 生前、被相続人の財産の増加や維持に、特別な働きをした相続人に認められる相続分

関連記事
「おかしな」税務調査もある
「税務調査」と聞いて、ドキリとしない人はいないでしょう。今年1月から課税される人が大きく増えた相続税も、もちろんその対象です。ともあれ、“怖い、怖くない”は別に、税務署のやることなのだから、そんなにメチャクチャなことはないのだろう、というのが一般的な受け止めではないでしょうか。ところが、中には相当「おかしな」調査もあるのだそう。「前回このコーナーで取り上げたケースが、まさにそれです」と税理士の稲葉豊先生は、指摘します。
親子では、「見ている時間」が違う
「あんなに仲のよかった兄弟が、相続になったばっかりに……」。そうならないためには、相続になる前の準備が大切だ、といわれます。でも、完璧な準備を整えて「その時」を迎えられる家族は、まだ少数派。なぜそうなのか? 円満な相続に、コツはあるのでしょうか?斎藤英一先生に聞きました。
ちょっと待った! 不動産の「共有名義」
遺産の不動産をどうするか? すぐに売却は難しい。さりとて、誰か一人が相続したら、明らかな不平等が生じてしまう。だったら、相続人の「共有名義」にして、みんなで等分すればいいじゃないか――。一見、平等で合理的に見えるこのやり方。実は、将来に禍根を残しかねない、“禁じ手”でした。税理士の仁科忠二郎先生に聞きました。
相続が得意な税理士の無料紹介はこちら