相続税vs贈与税+所得課税、どっちがトクか?~相続と生命保険⑥~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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相続税vs贈与税+所得課税、どっちがトクか?~相続と生命保険⑥~
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生命保険の非課税枠を有効に使って、相続しましょう――。それが、相続税対策の王道の一つであることは、このコーナーでもたびたび語られました。ただし、遺産が高額で、相続税が最高税率である55%に達するような場合には、ちょっと事情が違ってくるようです。税理士の新村貢一先生に聞きました。
半分以上が税金に……

にも述べたように、生命保険の保険金には、一人500万円までの非課税枠があります。相続人が3人いれば、合計1500万円。現金で相続すれば、そのまま相続税算出のベースとなる相続財産に上乗せされてしまうそれだけのお金が、「ノーカウント」に。だから、相続税対策として、「非課税枠を念頭に置きながら、被相続人が保険料を支払って、相続人を受取人とする生命保険に入る」ことが推奨されるわけですね。

ちなみに、被相続人が保険料を支払うことで、その分、相続財産は圧縮されます。被相続人が生命保険に入ることには、「二重の節税効果」が期待できるのです。

とはいえ、それは「普通の相続」の場合です。「相続財産が6億円を超え、相続税が最高税率である55%かかってくる」という世界になると、単純にそうとは言えなくなるんですよ。このクラスになると、先ほど言ったようなスキームの生命保険で相続税対策をやろうとしても、ある意味、焼け石に水。遺産が、保険金の非課税枠を大きく超えてしまうからです。

実は、こうしたケースでは、生命保険契約の中身をさきほどとは違うものにすることによって、納税額を大きく減らせる可能性があるんですよ。ただし、実際に減らせるかどうかは、「相続税と、“贈与税、所得課税連合軍”のせめぎ合い」になります。

相続人が、自ら保険料を払う

では、契約の中身をどう変えるのでしょうか? 前回も言いましたが、保険には、「契約者」=保険を契約し保険料を払う人、「被保険者」=保険の対象者、「受取人」=保険金を受け取る人――の3者がいます。生命保険の普通のパターンは、「契約者と被保険者は被相続人、受取人は子どもなどの相続人」ですよね。そうではなくて、「契約者と受取人が相続人、被保険者は被相続人」という形にするのです。つまり、親ではなく、子ども自らが保険料を払い、被保険者である親が亡くなったら、保険金を受け取るわけですね。

こうすると、親が亡くなって入ってくる保険金は、自分で保険料を払っていたのだから「みなし相続財産」(*1)などではなく、「所得」になります。かかるのは「所得税」と「住民税」の「所得課税」。しかも、このケースは「一時所得」(*2)とみなされるのが、このお話のポイントです。

一時所得だと、50万円の特別控除に加え、「税率は2分の1でいい」という特例が適用されるんですね。本来、所得税+住民税の最高税率である55%課税される所得であっても、27・5%の納税で済むのです。相続税の最高税率55%の税金を納めなければならない相続財産の一部を、この一時所得に「置き換え」れば、税率は一気に半分に。その有利さは歴然でしょう。

ところで、「保険料は子どもが払う」といっても、自分の財布から出すわけではなく、基本的に親の援助、すなわち贈与を受けることになるでしょう。ということは、当然、贈与税がかかります。このやり方を選択すると、一方でその税負担が生じます。

整理してみましょう。従来のやり方で納める税金は、①「相続財産と、非課税分を差し引いた後の生命保険金の合計にかかる相続税」でした。今紹介した方法だと、②「保険料支払いのための贈与税+生命保険金の一時所得課税+相続財産にかかる相続税」になります。最終的にどちらが有利なのかは、さきほども言ったように、「①と②のせめぎ合い」なんですね。相続財産の総額や、いくらの保険を掛けるかなど、様々なファクターを検討する必要がありますが、もし②でいけたら、けっこうな節税になるのは確か。

保険会社には、「どちらが得か」の「シミュレーションソフト」を用意しているところもあるようです。ただ、そもそも相続財産をどう評価するのかは、これだけの資産規模になると、一筋縄ではいかないでしょう。その大前提が違えば、シミュレーションの答えが真逆に出ることだってありえることに、注意が必要です。まずは、こうした選択肢もあることを理解したうえで、税理士など専門家のアドバイスを受けてみてください。

*1 みなし相続財産 本来は相続財産ではないが、被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産。

*2 一時所得 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得。

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