テクニック先行は、「争続」のもと~相続と生命保険⑦~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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テクニック先行は、「争続」のもと~相続と生命保険⑦~
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一人当たり500万円まで相続税がかからないなど、相続対策に効果が大きい生命保険。ただそれだけに、対策に使えば、大きな「お金の移動」を伴います。「初めに節税ありき」で走ると、思わぬ争いのタネになることも。「生命保険を相続対策に使う場合にも、まずは信頼できるプロに相談してほしい」と税理士の新村貢一先生は言います。
やっぱり「使える」生命保険

私が独立して事務所を構えたのは、1992年です。ちょうど、直前に土地バブルが弾け、“失われた20年”が始まった頃でした。ですから、この時期に確定申告などで契約したお客さんには、高値で賃貸物件を建ててしまい、いまだに苦労している方が、けっこういらっしゃるんですよ。

Aさんもその一人。バブル期に、都内に賃貸オフィス兼自宅を建てたのですが、ほどなく、家賃は下降線をたどり始め、空室も目立つようになってしまいました。現在は、家賃収入に年金を上乗せして、建設費のローンを払っているありさまです。そんな状況を見て、息子さんは、その物件を含め、父親の遺産は相続しない気持ちを固めているそう。そもそも、現金を不動産に変えたのは、その息子への相続対策だったのに、完全にアダになってしまった形です。

このままでは、息子に残せる財産は、ゼロ。そこで私は、生命保険の活用を提案しました。とはいえ、すでに高齢のAさんが新たに生命保険に入るのは、いろんな意味でハードルが高い。そこで、贈与税がかからない年間110万円ずつを贈与して、息子さん自身が保険料を払い、Aさんが亡くなった時に保険金を受け取る形にしました。

なお、贈与税の最低税率は、非課税控除後、年間200万円まで10%です。仮に非課税110万円+200万円=年間310万円の贈与なら、払う税金は20万円。実質的には、20万円÷310万円=6・5%の税率で、ここまで保険料相当の贈与ができるわけです。

例えばこんなふうに、生命保険は、場合によっては「不可能を可能に」することもできるのです。ただし、決して“オールマイティ”ではないことも、心得ておきましょう。

事前に話しておくことが大事

生命保険の保険金には、相続人一人当たり500万円の相続税の非課税枠があり、そもそも民法上の相続財産に含まれないために、遺産分割協議に関わりなく、すぐに受け取れる――。私は、このコーナーで、そうした生命保険のメリットをお話ししてきました。ただしそれは、見方を変えれば、「普通の相続とは違うお金の流れを生む」ことにほかなりません。そのことも、ぜひ自覚していただきたいんですよ。

に「代償分割」の話をしたと思います。親が残した遺産のほとんどは自宅で、3人兄弟で分けることができない――。こんな場合には、親が、自宅を相続する長男を受取人とする生命保険に加入しておいて、亡くなったら長男がその保険金で次男と3男に「代償金」を支払う、というやり方が使えるわけです。

しかし、考えてみれば、これはかなり高度で、ある意味「回りくどい」手法ですよね。一時的にではあるにせよ、長男は自宅という財産も、親の死亡保険金も「総取り」状態になります。もし、親が死ぬまで、次男も3男も代償分割の仕組みを説明されることがなく、「兄貴が親父の保険金の受取人になっている」ことも知らされていなかったら、どうでしょう? 「なんだよ、それは」という話になる可能性大ではないか、と思います。代償分割に限らず、生命保険を使って相続対策をやろうという時には、事前にすべての相続人に、そのことをきちんと説明しておくべきでしょう。

ちなみに、そんなまどろっこしいやり方は面倒だから、と次男と3男を保険金の受取人にしておくと、足を掬われかねないことも、すでに述べました。彼らが、保険金を受け取ったうえで、さらに遺留分(*)を請求してくる可能性が、ゼロではないんですね。「保険金は、民法上の相続財産には含まれない」というのは、「遺留分は、あくまで本来の相続財産をベースに計算される」ということを意味しますから、それを逆手に取ることだって、できるわけです。

有効活用すれば、ハッピーな相続をサポートする生命保険。一方で、安易に結果だけ求めた結果、揉め事の原因になってしまった、という話も耳にします。そんなことにならないように、何かトラブルが起こってからではなく、相続対策のスタートから、我々税理士に任せてほしい。それが、生命保険活用のメリットを十分に享受するコツなんですよ。

*遺留分 民法に定められた、法定相続人が最低限受け取れる財産

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