「私は別の税理士に頼む」。気持ちは分かるけど…… ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

トップページ > 遺産相続 「先生 教えて !」 > 「私は別の税理士に頼む」。気持ちは分かるけど……

「私は別の税理士に頼む」。気持ちは分かるけど……
vol.113img
たいていの場合、相続税の申告は、税理士に依頼します。それも、ある相続に関しては、一人の税理士が担当するのが普通。ところが、遺産の分割で揉めると、相続人がそれぞれ別の税理士に申告を任せて、争うこともあるのだそう。「でも、それは、相続人にとって得策ではありません」と、斎藤英一先生は話します。
諍いが生む「別々の税理士」

相続における税理士の仕事は、納税者の意を酌んで、遺産の価値を評価したうえで、正しい相続税の申告を行うことです。遺産分割について、基本的な部分でアドバイスすることはありますが、「こう分けましょう」と話し合いをリードしたりすれば、違法行為とみなされることもあるんですね。そういうこともあって、私たちは基本的にそれぞれの相続人の「代理人」ではないのですが、時には、相続人の方の意向に沿う形で、一つの相続を複数の税理士が担当することも、ないわけではありません。

私の経験したのは、こんな事例でした。多くの不動産を所有する資産家が亡くなり、相続になりました。遺産の総額は、数十億円。相続人は、長男、次男、長女の3人の子どもでした。そのうちの長女の方からの依頼が、すでに遺産分割協議が始まって数ヵ月経ってから舞い込んできたのです。

協議は揉めに揉めていました。感情の矛先は、長男が頼んだ税理士にも向いて、まず次男と長女が、別の税理士に遺産の再評価などを依頼。長女はそれにも納得できずに、私の事務所にやってきた、という経緯でした。結果的に、同じ相続に税理士が3人。実はこれ、我々税理士にとっては、とても困った状況なのです。

最初に、「税理士の仕事は、遺産を評価すること」と言いましたが、それは口で言うほど単純な仕事ではありません。特に土地などの不動産は、場所や広さはもちろんのこと、形状や周辺環境、利便性などさまざまなファクターで、評価額が大きく違ってくる場合があります。

「違い」があるということは、それだけいろんな評価の行われる余地がある、ということ。同じ土地だから、誰がやっても同じ評価額になる、という世界ではないのです。しかも、この相続では、そうした不動産がゴマンとある。最初から、遺産についての税理士3人の評価がピタリ一致したら、それこそ奇跡でしょう。

しかし、申告のことを考えたら、「ピタリ一致」させておかなければ、話になりません。そこで我々は「税理士会議」の場を設け、どのように分割するかは別にして、遺産の評価については同じになるよう、調整を進めました。3人が担当しつつ、遺産の評価については1人がやったのと同じ形を整えたわけですね。
調整できないとどうなるか

ただし、どんな場合にも税理士会議が開けるとは限りません。話し合いが持たれないこともあるし、開いたけれど、税理士同士の調整が不調に終わった、ということもあるでしょう。私も、やはり3人の税理士が担当し、それぞれの相続人が別々に税務申告した例を、実際に知っています。

そうなると、税務署には、遺産の額がバラバラ、相続税額もバラバラ、もしかすると分割についてもバラバラの申告書が届くことになります。黙って見逃されたら、やっぱり奇跡です。間違いなく、「この申告は何ですか?」と税務調査が入ることになるはずです。相続人にとってプラスになることは、一つもありません。

遺産分割の争いは、いざとなったら、それぞれが弁護士を立てて争うしかないでしょう。ただ、遺産の評価や税務に関しては、共通の税理士に一元的に任せる、又は依頼する税理士が別々であっても、情報や方向性を統一させるなど、そこは冷静に対処してもらいたいと思います。

カテゴリ:遺産分割
関連記事
原則、「特別受益」には当たらない~相続と生命保険③~
誰にいくらの生命保険を掛け、誰を受取人にするのかは、契約者の自由。被相続人が、相続人の中のある特定の人にだけ、手厚い保険金を「残す」ことも可能です。でも、それは住宅購入資金の援助などと同じ「特別受益」にならないのか? 税理士の新村貢一先生に解説していただきましょう。
お金の相続は、心の「想続」でもある
「相続とは何か?」と聞けば、「被相続人の財産を、相続人が受け継ぐこと」という答えが返ってくるでしょう。お金が動くだけに、ともすれば、それが「争続」になるわけです。しかし、税理士の山下桂先生は、「相続は、財産といっしょに亡くなった人の思いも引き継ぐ、『想続』であるべきだ」と言います。そう考えるようになったのには、担当したある相続の、苦い経験がありました。
遺産をどう分けるかは、「親の権利」である
遺産相続について、民法には、遺言書がない場合の分け方=「法定相続分」や、自らに不利な遺言書があっても、最低限受け取れるもの=「遺留分」の定めがあります。そうしたこともあって、「相続人には、遺産相続を受ける当然の権利がある」と捉えるのが一般的ではないでしょうか。でも、法で決められているのは、あくまでも「相続分の目安」にすぎません。税理士の高橋正光先生は、「被相続人が、遺産を分けたいように分けるのが相続の本質です」と話します。
相続が得意な税理士の無料紹介はこちら