スムーズな事業承継のために、遺言書に明記すべき2つのこと ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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スムーズな事業承継のために、遺言書に明記すべき2つのこと
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経営者にとっては、事業をどうやってスムーズに子どもなどの後継者に引き継ぐのかも、相続の重要課題。それに失敗すれば、せっかく汗水流して大きくしてきた会社の経営が、一気に傾いてしまう、なんていうことも起こりえるのです。公認会計士・税理士の古川勉先生は、「事業承継に当たっては、相続税の節税の前に考えるべきことがある」と指摘します。
先妻の子vs後妻の子のバトル

経営者向けの相続のノウハウ本などを見ると、「こうすれば相続税を少なくできて、事業承継もバッチリ」といったアドバイスをよく目にします。もちろん、節税できれば、それに越したことはないでしょう。ただし、こと事業承継に関しては、まずは「後継者が、問題なく事業を継げること」を第一に考えて欲しい。税理士がこんなことを言うのもなんですが、しいて言えば、相続税対策は「二の次」くらいの感覚でいいと思うんですよ。

では、後継者対策をおろそかにすると、どうなるか? こんな例を紹介しておきましょう。戦後、製造業を起こして、売り上げ数十億円規模に成長させた私の顧客が亡くなり、相続になりました。亡くなった時には会長になっていましたが、いぜんとして会社の株を4割以上保有。社長には長男が就いていて、会長亡き後は、当然、この方が名実ともに会社のトップになる予定でした。ところが、揉め事になってしまったんですね。

事業承継のポイントは、経営権を担保する「自社株」と、会社の土地や建物、設備などの「事業資産」を、新たな経営者が確実に受け継ぐことです。ところが、この相続では、それがうまくできなかった。実は、この家は家族関係がちょっと複雑で、会長には亡くなった先妻との間に子どもが4人、後妻の子も2人いました。社長になっていたのは、先妻の子どもだったのですが、相続になるや、この“先妻側”と“後妻側”で、争いが起こったのです。

そんなことになった原因は、ズバリ事業承継の対策を怠ったから。具体的に言えば、遺言書を残すなどして、株と事業資産を後継者である長男にちゃんと渡す必要があったのに、それをやらなかったのです。会長には、生前、そうした手立ての必要性を折に触れて申し上げてきたのですが、「分かった、分かった」と先延ばしにしているうちに、結局遺言も残さずに急に亡くなってしまいました。その結果、4割超の会長所有の自社株も、事業資産も、後妻と6人の子どもで、法定相続分(*)に従って分けられる状況が生まれました。

必要な遺言書がなかったばかりに

株について言えば、定款や組織の変更などの重要事項を株主総会で決議できる割合が3分の2以上ですから、経営者はそれだけ保有しているのが理想。持分が50%を下回ったりすれば、他の株主によって解任させられるリスクさえ、生じます。そんな状態では、安定的な経営など望むべくもないでしょう。

それを見越した後妻側の主張は、「しかるべき金額で、自分たちの持っている株を買ってほしい」というもの。さきほど述べたように、会社の事業用地なども、新しい経営者がまとめて相続するためには、遺産分割協議での、相続人全員の同意が必要な状況になっていました。「判子を押す代わりに、株を引き取ってもらいたい」というわけです。すったもんだの末、「経営を安定させるためにはやむなし」と、ご長男は銀行から億円単位の借金をし、株をすべて買い取ることで決着しました。

こうして、経営は辛うじて守られたものの、ご長男としても、思わぬリスタートとなってしまいました。ちなみに、現在はさらに代替わりして、その方の子どもが事業を継いでいるのですが、いまだにその時の借金返済を余儀なくされています。このように、事業承継のミスは尾を引くのです。

再度強調しておけば、確実な事業承継には、「自分の持つ自社株と事業資産の二つは、事業の継承者に譲る」という内容の遺言書が必須です。まず、そのことを考えて欲しいですね。あとの税金のことだとかは、我々プロに任せてくれればいいのです。

*法定相続分 民法で定められた、相続人の財産の取り分。このケースでは、配偶者(後妻)が2分の1、残り2分の1を6人の子どもで按分する。

カテゴリ:事業承継
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