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相続で揉めないために留意したい「公平感」
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相続のあり方も、家族関係によって千差万別です。「家業を継いでくれる長男に、財産の多くを渡したい」「実家に寄りつかなかった次男は、遺留分(*)だけで十分だろう」――。もちろん、「子どもたちはみんなかわいい。だから遺産は公平に分けたい」と考える親も、多いはず。ただし、金額的に「みんな同じ」なら、子どもたちもそう受け取ってくれるのか? 公認会計士・税理士の古川勉先生は、「それぞれ異なる、子どもの経済状態などにも目を向けることが大事です」と話します。
相続人の生活も、一様ではない

よく、他山の石として、「揉めた相続」のお話をするのですが、逆に「揉めなかった相続」はどういうものだったのかを考えてみると、まず、被相続人、すなわち親の遺産の大半が現金で、しかもほんの僅かしかない場合ですね。これは、ほとんど揉めようがありません。お金を平等に分けて、おしまいです。また、「かなりの資産家」といった場合も、早くから相続対策をきちんとやるからなのか、意外に骨肉の争いにまで発展しないことが多いように感じます。一番「危険」なのは、言い方は変ですけど、中途半端に財産を残したケース。「大した遺産ではないから」と被相続人が何もしないまま亡くなったりすると、些細なことから遺産の奪い合いが始まり、収拾がつかなくなることもあるわけですね。

今のは、被相続人の経済状態ですが、一方、遺産をもらう側の生活実態も、遺産相続で「揉める・揉めない」の重要なファクターだ、というのが私の実感なんですよ。「金持ち喧嘩せず」とはよく言ったもので、裕福な暮らしをしている人は、親の遺産など当てにしないのが普通。自宅の車庫にベンツが鎮座しているような子どもばかりだったら、実際、争いにはなりにくいのです。

しかし、実際には、兄弟に「ベンツの兄」と「国産軽自動車の弟」が混在しているようなケースが珍しくないでしょう。その場合には、相続にもひと工夫必要だ、と感じるのです。

親として、やれることはやる

子どもたちの生活に、経済面で目に見えるデコボコがあった場合、親が「平等に」と同額ずつを相続させたとしたら、「国産車の弟」は、どう感じるでしょうか? そこに、「小さな頃、両親は兄貴をかわいがり、僕にはお下がりばかりだった」というような感情がかぶされば、「争続」の原因にならないとも限りません。

親として考えるべきは、「平等」は「公平」とは違う、ということだと思うのです。所得の少ない相続人に、比較的手厚い相続が行われたならば、彼は「やっぱり父は、自分のことも大事に考えてくれていたんだ」と感じるはず。他の兄弟も、そういう理由の「不平等」だったら、納得しやすいはず。

とはいえ、そこまでやったからといって、子どもたちすべてが納得の相続になる保証はありません。「もっとくれてもいいのに」「なんで、遊んでばかりのあいつが優遇されるのだ」と、争いのタネは尽きまじ……。

思うに、「とにかく、親としてできることはやる」姿勢が大事なのではないでしょうか。ここまでやったのに争いになってしまったら、もうそれは親の責任ではない――。最後は、そう割り切ればいいんですよ。そういう気持ちは、大なり小なり子どもたちに伝わるはずだ、と私は思いますよ。

*遺留分 民法に定められた、相続人が最低限相続できる財産。

カテゴリ:遺産分割 遺言
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