突然「帰って」きた夫が死亡。さて、相続は? ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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突然「帰って」きた夫が死亡。さて、相続は?
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家族の関係は、千差万別。中には、家庭を顧みず「火宅の人」のような生活を送る方もいます。しかし、どんな状況であれ、いざ相続になったら遺産をしっかり分け、必要に応じて納税しなければなりません。「相続人が大変な目に遭わないためには、どんな“主”でも、その財産だけは、ある程度把握しておくのが無難です」と税理士の土田義二先生は指摘します。
別宅に居座り、帰らない夫

60歳代半ばで会社を経営されていた方が亡くなり、奥さんがその相続の相談にみえました。聞くと、かなり特殊な家庭で、夫は外に女性を囲い、もう何年も家には帰ってこない。娘さんが一人いるのですが、彼女ももう長いこと父親と話をしたことがない、という状況でした。まあ、経済的には困っていませんでしたし、そんな夫、父親のことを家族は諦めて、好きにさせているという感じでしたね。

ところが、その男性が、ある日ひょっこり帰ってきたんですよ。体を壊し、余命いくばくもないことを悟ったからでした。最期だけは「本当の家族と」と考えたのでしょう。そして、1年ほどして亡くなったのでした。

さて、奥さんがまず困ったのは、会社の状況が、まったくといっていいいほど分からないこと。業績が好調で、社長自身も羽振りが良かったのは3年ほど前までで、それ以降はあまりうまくいかなくなっていたらしいことは、帰宅した夫から聞いたそうですが、それ以上の情報はありません。

そこで、謄本を取ってみると、精算は完了していないものの、解散していることが分かりました。ただ、「お金」関係がどうなったのかは、不明。会社に最後に残ったのは、男性が一人と経理担当者だったことも分かったので、奥さんに「一応事情を確認してみましょうか?」と話したんですよ。すると、「それはいい」とおっしゃいます。どうやら、その経理担当者というのが、旦那さんの相手だったようなのです。

預金を引出し、関係を「精算」

問題はもう一つあって、旦那さんの通帳を見ると、家に帰ってきた1年ほどの間に、数回に分けて計1500万円ほどが引き出されていたんですね。奥さんの話では、フラフラの体で、「ちょっと出かけてくる」と言い出ていったことが、何回かあったそうです。状況から考えて、別宅の女性に「清算金」を支払うために銀行に通ったのではないかと推測できそうです。旦那さんは、愛人への財産分与を遺言書にしたためる代わりに、自ら支払ったのでは?

とりあえず、もう会社は残っていないことが明らかになったので、奥さんには「会社のことは気にせず、申告しましょう」とアドバイスしました。「経理担当者」の女性は相続人ではありませんから、旦那さんから大枚の贈与を受けていたとしても、それは彼女と税務署との問題。奥さんも、そのお金をめぐって愛人と一戦交えるような気持ちはありませんでした。

都内の住宅地にけっこうな広さの家がありましたが、「小規模宅地の特例」(※1)を使ってその評価額を80%減にし、配偶者控除(※2)も活用した結果、最終的に遺産総額は1億円ほどになりました。愛人への「清算金」以外に、旦那さんはしっかり現金を残していたので、納税に窮するようなこともなく、相続自体はなんとか無事に終わらせることができました。

ただ、今思い返してみても、奥さんの「夫が経営していた会社の状況が見えない」という不安、愛人に死ぬ間際に1500万円も渡していた悔しさは、いくばくのものだったか、と感じますね。話しながら涙を拭うようなこともあったんですよ。

実際、この場合でも、例えば、会社が大きな借金を抱えていることが急に明らかになったり、個人保証があとから出てきたりしたら、かなり困ったことになります。特に、配偶者や親が会社を経営していたり、それなりの資産を持っていたりする場合には、関係がどうあっても、その概要は把握しておいたほうがいい――。私にとっても勉強になった一件でした。

※1小規模宅地の特例 「被相続人と同居していた」など、一定の要件を満たせば、宅地の評価額を最大80%引き下げられる特例。

※2相続税の配偶者控除 配偶者が相続する財産は、1億6000万円まで非課税。それを越えても、法定相続分である「遺産総額の2分の1」までは、相続税がかからない。

カテゴリ:贈与 遺産分割
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