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死んだ父の遺言書に、家族仰天の内容が!
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「まさか、あの父がこんな遺言書を残すなんて」。このサプライズも、相続では珍しくないようです。生前の親子関係が如実に反映した結果でもあるのですが、それが元になって「争続」の発生することもしばしば。税理士の浅野和治先生も、こんな事例に遭遇した経験があるといいます。
「優しくしてくれたあの人に、遺産を譲る」

直接私が担当した案件ではないのですが、こんな事例を紹介しましょう。東京の高級住宅街の地主で、恐らく遺産が5億円は下らないという高齢男性がなくなり、相続になりました。妻はすでに亡くなっていましたので、相続人は息子と娘。彼らは、遺産を半分ずつもらえる、と当然のように考えていたわけです。

ところが、お父さんは意外な遺言書を残していたんですよ。「遺産のうち5000万円はAさんに譲る」という内容でした。Aさんというのは、被相続人が日参していた自宅近くの喫茶店の店員をしている、60歳代の女性でした。

あらかじめ言っておくと、この事例は、高齢の男性に多額の遺産のあることを知った女性が、言葉巧みに近づいて……というパターンではありません。独り暮らしだったその男性は、喫茶店で「おばちゃん」とよもやま話をするのが、なによりの楽しみだった。Aさんのほうも、独居の老人を気遣って、時々部屋の掃除に出向いてあげる、という関係でした。そもそもAさんは、男性がそんな遺言書を残していること自体を知らず、慌てて店のオーナーに「こんなお金を、私がもらってもいいのでしょうか?」と相談に来た

子供にとっては、寝耳に水

同様の遺言書でよくあるのが、「全財産を愛人に渡す」というお話。妻に先立たれて寂しくなったお父さんが、結婚相談所や「出会いパーティー」などで、明らかに財産目当ての女性に捕まって遺産の多くを持っていかれてしまう、といった事例が最近増えているのも事実です。

繰り返しになりますが、このケースはそれらとは違います。5000万円という金額にもそれは表れていて、被相続人は、恐らく人生最後の時間に親切にしてくれた人に心からの感謝の気持ちを示すつもりで、財産の10分の1程度を渡そうと考えたのでしょう。

とはいえ、それはあくまでも被相続人の気持ち。10分の1とはいえ、「遺産は全部自分たちで分けるもの」と信じていた子供たちにとっては、寝耳に水の事態が起こったのでした。そもそも、彼らはAさんの存在自体を、遺言書を見るまで知りませんでした。父親が通っていた喫茶店のウェートレスだと分かり、2度びっくり。「親父は騙されたのではないか」と考えるのは、ある意味自然なことかもしれません。しかし、有効な遺言書がある以上、「父の遺志」を覆すことはできないのです。

あえて補足すれば、法定相続人には、たとえ遺言書があったとしても認められる最低限の取り分=遺留分があります。今回の場合、子供の遺留分は、法定相続分である1人2分の1ずつの2分の1=4分の1。遺産が5億円だとすると1億2500万円です。では、遺言書に従ってAさんに5000万円渡した場合の、子供の取り分は? 残りの4億5000万円を均等に分けたとすると、1人2億2500万円になります。遺留分を楽々クリアしていますから、この点でも問題ありません。

結局、遺産分割まで1~2年は“すったもんだ”がありましたけど、遺言書通り5000万円はAさんが受け取ることになりました。遺志を通せたお父さんはハッピーでしょう。しかし一方で、想定外の相続になった子供たちには、大きなわだかまりの残る結果になってしまいました。そもそも被相続人は。どうして子供が困惑するような形で遺言書を残したのでしょうか? 次回は、そこを考えてみたいと思います。

カテゴリ:遺産分割 遺言
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