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書くのは臨機応変に。それも遺言書作成のポイント
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前回、遺言書には「自筆証書遺言書」「公正証書遺言書」「秘密証書遺言書」の3種類があることを説明しました。このうち、税理士の先生などがまず勧めるのは、紛失や偽造などの心配のない公正証書遺言書です。税理士の浅野和治先生も、その考えに同意しつつ、「ただし、時と場合によっては、“自筆”でやったほうがいいようなこともある」と、こんな事例を紹介してくれました。
「手遅れ」になった相続

医師をしている高齢の男性が、体調を崩して入院しました。お医者さんだから、自分の体のことも分かるのでしょう。「もう長くはなさそうだ」と悟り、相続のことを考えました。相続人は、今の妻と前妻との間の子どもの2人。黙っていれば、法定相続分である、それぞれ2分の1ずつでの遺産分割になりそうでした。

しかし、この方は「遺産の全額を今の妻に譲りたい」という気持ちを持っていたんですよ。前妻の子との関係がどうだったのかは分かりませけど、財産がそちらに行くのは嫌だったようなのです。そこで遺言書の作成を思い立ったまではよかったのですが……。なぜか医院の顧問税理士である私ではなく、別の司法書士に依頼したんですね。実は、それが間違いの元でした。

司法書士さんは、「安全・確実」な公正証書遺言書の作成を提案し、準備を進めたそう。ところが、結局作業は間に合わず、遺言書を書く前に男性は亡くなってしまったのです。残念ながら、男性の遺志は生かされることなく、遺産は妻と前妻の子とで半分ずつにするしかありませんでした。

私だったらどうしたか? 迷わず、病床で自筆証書遺言書を書いてもらったでしょう。「全財産を妻の〇〇に渡す」と書いて、あとは日付と署名、捺印だけでOK。たとえ前妻の子が遺留分(※)を請求してきたとしても、遺産の大半は今の奥さんが手にできたはずなのです。公正証書遺言書で万全を期したいのならば、そのうえで作成の作業を進めればよかった。

「自筆」であっても、効力は変わらない

反対に、一般の方が「こんな書き方で大丈夫なのか」と感じられるような「紙」が1枚あったおかげで、被相続人の思いが通じた例も、私はいくつか知っています。たとえば、「遺産のすべてを次の者に譲る」と、何人かの名前だけを記して亡くなった事例がありました。書かれていた人の中には、本来法定相続人ではない親族が含まれていたし、逆に相続人なのに名前が漏れている人もいましたね。繰り返しますが、それでも確かに本人の自筆で、署名などの要件を満たしていれば、公正証書遺言書と何ら遜色のない遺言書なのです。それを基に、粛々と遺産分割の作業を進めることができました。

今現在、「特定の人に多く遺産をあげたい」、あるいは「この相続人だけには渡したくない」といった、法定相続分とは異なる遺産分割をしたいと考えていたら、すぐにでも遺言書を書くべきだと私は思います。さきほどのお医者さんの例のように、元気が亡くなって臥せってからでは、いろんなアクシデントも起こりやすくなるんですよ。

ちなみに、遺言書は何度でも書き直すことができます。自筆証書遺言書だろうが公正証書遺言書であろうが、日付の新しいほうが有効。そんなことも頭に入れて、「今の考え」をしたためてみては。

※遺留分 遺言書があっても、法定相続人に認められた最低限の遺産の取り分。この場合は、法定相続分2分の1×2分の1で、遺産の4分の1となる。

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