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相続で評価されない「親の介護」
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兄弟間の相続争いでよく火種になるのが、「親に対する貢献度」。亡くなった親と同居して、長く介護していたような場合には、「遺産は他の兄弟より多くもらって当然」と考えるのは、自然な感情にも思えます。しかし、法的には、相続においてその貢献はほとんど認められない、という現実があります。では、こうしたケースでは、打つ手は何もないのでしょうか? 税理士の浅野和治先生に聞きました。
なぜ介護の貢献は認められないのか?

以前、「親の遺産が欲しければ、その面倒を見る気持ちを持つべきだ」とお話ししました。ただ、それが口で言うほど簡単なことではないことも、私は十分認識しています。親と同居しているというだけで、「部屋で倒れていないか」などと気になって仕方がない。まして寝たきり状態を介護しているような場合には、その肉体的、精神的な苦労は想像するに難くありません。

そんな親が亡くなって、相続に。その場で、「あれだけ大変な思いをして親の面倒をみてきたのだから、そのぶん遺産を多くもらいたい」と考え、主張する気持ちもよく分かります。でも、実際には、「相続において他の相続人よりも優遇しよう」という「寄与分」(※1)が認められることは、ほとんどないと考えてください。通常の介護は、扶養義務の範囲内とみなされるからです。義務を果たしただけでは、「見返り」はありませんよ、ということですね。遺産の上乗せが認められるとしたら、例えば同居の子どもが介護したことによって、本来必要だった高額の介護サービスの利用やヘルパーの雇用などをしなくてよくなり、結果的に親の財産を維持することができた、といった「特別な寄与」があった時。正直、適用は限られるでしょう。

もっと根本的な問題もあります。「長男夫婦が同居して、親を介護した」といいう場合、現場でそれに携わっているのは、いったい誰でしょう? 多くは「夫の妻」だと思います。ところが、彼女は一生懸命介護していた義理の親が亡くなっても、その法定相続人ではありません。遺産を受け取る資格が、そもそもないのです。

個人的には、相続における「介護の寄与」は、もう少し法律でカバーしてもいいのではないかと感じますね。高齢化で介護は長期化し、なおかつ国は「地域包括ケア」で、在宅介護を推進しようとしているのですから。

遺言書を活用する手がある

ともあれ、どんなに自分の生活を犠牲にして献身的な介護を行ったとしても、自動的に他の兄弟よりもたくさん遺産がもらえるわけではないという、介護をする側にとっては厳しい現実があります。ただし、この「理不尽な」状況は、親の側がその気になれば、大きく変えることも可能なんですね。例えば「介護をしてくれた長男の嫁に、これだけの遺産を譲る」という遺言書を作っておけばいいのです。

これもすでにお話しした通り、法定相続人の遺留分(※2)を侵害しない限り、被相続人は誰にでも遺産を渡すことができます。相続人以外でもOK。こんなふうに被相続人の遺志を実現できる遺言書を、ぜひ有効に使ってほしいと思います。

ただ、あまりのサプライズは「争続」の元にもなります。こうしたケースでは、生前に子どもたちの前で、「介護をしてくれる嫁に、多少の遺産を譲りたい」といった話をしておくことも大切。兄弟間に「確かにそうだよね」という雰囲気が出来上がっていたら、話し合いもスムーズに進むはずですよ。

※1寄与分 相続において、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」(民法904条の2第1項)相続人を、他の相続人よりも優遇しようという制度。

※2遺留分 遺言書があったとしても、民法で認められた、法定相続人が相続できる最低限の取り分。

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