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気づいたら「相続人」が数百人に膨らんでいた!(下)
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今回も、祖父の代の遺産分割協議が行われなかったために、自宅のある土地の「地権者」が、収拾のつかないほどの数にまで増えてしまった話の続きです。では、現状ではどんな問題が? なんとか打開する手立てはないのでしょうか? 税理士法人おしうみ総合会計事務所の鴛海量明先生に聞きました。
◆未分割のままでは、家の建て替えも土地の売買も不可

八木:前回、祖父の相続で自宅の土地が相続人に分割されず、名義の書き換えも行われなかったために、代替わりを経て土地の法定相続の権利者が数百人にまで膨らんでしまった――という事例を紹介していただきました。この状態のままだと、どんな困ったことがあるのでしょうか?

鴛海先生:基本的に「権利者」に無断で、家を建て替えたりすることはできません。もちろん土地を売ることもできないし、それを担保にお金を借りることもNGなのです。その状態を解消するためには、全員に連絡を取って事情を話し、いくばくかの「判子代」などを支払うなどして、相続の権利を放棄してもらうのが常道ではあります。

八木:個人では難しいから、弁護士などの専門家に依頼して、戸籍を徹底的に調べて連絡を取ってもらうわけですね。

鴛海先生:そうなのですが、ご紹介したケースのように、「相続人」が大きく増えてしまうと、弁護士さんも二の足を踏むでしょうね。例え依頼を受けてもらえたとしても、相当なコストを覚悟しなければなりません。かつて、これより1ケタ少ない数の人たちに連絡を取ってもらうのに、1000万円以上の見積りを示されたことがあるんですよ。そこまでできるのか、というお話になります。

逆に言えば、相応のコストを割いてでもやる意味があるのならば、戸籍を丹念に調べていくというのは、問題解決の有効な手段になりえると思います。それはケースバイケースだと思います。

八木:ただ、仮に連絡がついても、「同意はできない」と言われたら、元も子もないですよね。

鴛海先生:そうですね。あえて言えばもう一つ、裁判をやって「時効取得」を認めてもらうという方法もあります。前回の事例で言えば、「依頼人はずっとそこに住んでいた。固定資産税も何十年にもわたって親が支払ってきた。だから事実上依頼人の土地である。自分に登記させてほしい」という訴えを起こすわけです。ただしこれも、簡単ではありません。

手続きの煩雑さやコストの問題に加えて、実際やろうとすると心理的な壁もあるんですよ。やはり似たような案件で提案したことがあるのですが、「近しい親戚もいるし、彼らを相手に裁判というのは、ちょっと……」ということになって、うまくいきませんでした。紹介した事例では、「誰を訴えるのか」を確定すること自体が困難ですから、さらにハードルは高いといえるでしょうね。

◆認識したい遺産分割協議の大切さ

八木:結局、「先々代」の相続で遺産分割がきちんと行われなかったことが、にっちもさっちもいかない状況をつくり出してしまいました。

鴛海先生:今さらながらですけれど、遺産分割協議って「重い」んですよ。そこで話し合いがうまくいかないと「争族」になるかもしれないし、逆にみんなの同意があれば、被相続人が残した遺言書の中身とは違う遺産分割もできるのだから。

前回話したように、この事例の場合、問題の相続の法定相続人は、前妻との間にできた5人の子どもと後妻でしたから、その関係性が話し合いの障害になったのかもしれません。とはいえ、「すべきことをしなかった」ために、孫子の世代は言い難い困難を背負い込むことになってしまいました。きちんとした遺産分割は、その時の相続人のためだけではないんですね。それをぜひ考えてほしいと思うのです。

次回も「遺産分割のミス」についてお話ししましょう。

カテゴリ:遺産分割
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