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絶対に避けるべき不動産の「共有」(上)
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現金などと違い、相続の際、スッパリ分けるのに困難を伴うのが、土地をはじめとする不動産です。それをめぐって、争いになることも。「いやいや、相続する人間の共有名義にすれば、簡単だし平等じゃないか」。ところが、そこにも、後の世代に災いを招きかねない「危険な罠」が潜んでいる、と税理士法人おしうみ総合会計事務所の鴛海量明先生は警告します。
◆安易に「共有」にすると……

鴛海先生:今回お話しするのは、不動産の「共有」についてです。前回、遺産分割協議を曖昧にして、土地を半世紀以上前に亡くなった被相続人名義で放置したために、法定相続の権利者が“ネズミ算”式に増加して、収拾がつかなくなってしまった事例をお話ししました。実は、同じような事態を引き起こすのが、不動産の共有なんですよ。そのデメリットはなかなか理解されなくて、「罠」にはまってしまう方が結構多い。

八木:親の財産だった土地や建物を、兄弟で共有する。一見「公平、平等な相続」に思えますよね。

鴛海先生:逆に言えば、平等な分割が難しい物件などの場合に、「だったら共有でいいじゃない」という話になりやすいのです。確かに、その時点では平等かもしれません。ところが、これも孫子の代に重いツケを残すことになる危険性が高いんですよ。

どういうことか、簡単な例を挙げて説明しましょう。相続人はAとBの兄弟。親の持っていた不動産を相続する時、軽い気持ちで共有名義にしました。彼らの代はそれでよかった。でも、その相続はどうなるのか? Aにはc、d、Bにはe、fという2人ずつの子どもがいたとします。両親とも亡くなった二次相続(※1)の法定相続人(※2)はc、d、e、f。次の代では、その4人の共有になる可能性があるということです。さらに彼らが亡くなり相続になって……と次々に受け継がれたら、名義人はあっという間に二ケタになってしまうでしょう。

八木:実際に、そういう例が少なくないんですね。

鴛海先生:いとこ同士くらいならばまだ身内と呼べるかもしれませんが、その先、さらに先と進むうち、人間関係もどんどん疎遠かつ複雑になっていくでしょう。初めは幼い頃からいっしょに育った兄弟の「持ち物」だったものが、いつの間にかあまり気心の知れない多数の人間の共有物件になっていた、ということになりかねないわけです。

※1二次相続 両親のどちらか一方が亡くなって発生するのが一次相続、もう一人が亡くなるのが二次相続。この例の場合、一次相続では残った配偶者と子どもが不動産を相続する(法定相続の場合)。

※2法定相続人 民法が定めた相続人。被相続人の遺言書がない場合には、法定相続人間で遺産が分割される。

◆共有の解消は簡単ではない

八木:不動産が共有名義のままだと、不都合なことが多いんですよね。

鴛海先生:売却したり、担保にしてローンを組んだりするには、持ち主全員の同意が必要になります。建物の建て替え、改築なども同じ。「俺には10分の1の“持分”があるのだから、そのぶんは自由にしていいだろう」ということにはならないんですね。

八木:せっかくの不動産が、“宝の持ち腐れ”になってしまう。

鴛海先生:その状況を打開するためには、みんなで分けるなり、あるいは他の名義人に対価を支払って誰かがまとめるなり、いずれにしても不動産を単独名義に書き換える必要があります。でも、経験上、名義人が20人もいると、必ず1人か2人はゴネる人が出てくるわけですよ。1人でも首を縦に振らない人がいると、話し合いは前に進まなくなります。それが不動産の共有の怖いところなのです。

八木:すでに共有名義になっている場合には、名義人がいたずらに増える前に、できるだけ速やかに解消の努力を始めたほうがいいということですね。

鴛海先生:ちょうど現在進行形の案件があります。次回は、その事例を紹介しましょう。

カテゴリ:遺産分割
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