「他人」に渡るところだった遺産を死守 ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

トップページ > 遺産相続 「先生 教えて !」 > 「他人」に渡るところだった遺産を死守

「他人」に渡るところだった遺産を死守
vol.149img
「内縁の妻」は法定相続人にはなれないけれど、被相続人と彼女の間にできた子どもは、立派な相続人。前回紹介した事例は、そんなケースでした。ところが、その話には続きがありました。結局、その子も、被相続人の「養子」も、遺産を受け取ることはできませんでした。税理士法人おしうみ総合会計事務所の鴛海量明先生に、事の顛末を語っていただきましょう。
◆認知した子どもの正体は?

八木:前回、法的な婚姻関係のない「内縁の妻」は相続人にはなれないけれど、その人との間にできた子どもを認知したり、連れ子を養子にしたりすれば、その子たちは法定相続人としての身分を得る、というお話をしていただきました。

鴛海先生:被相続人が認知した内縁の妻の子どもが1人、養子にしたその連れ子が2人いたのでしたね。ところが、このケースでは、この3人の「内縁の妻の子どもたち」に相続は認められなかったんですよ。問題は、被相続人が「認知」した子どもでした。調べたら、彼は被相続人の子ではなかったのです。

八木:愛人が別の男性と作った子どもだったんですか! でも、どうしてその事実が分かったのでしょう?

鴛海先生:依頼人である前妻の息子さんは、父親の生前から子どもが「父の子」であることに、強い疑念を抱いていました。そこで弁護士を立てて争い、DNA鑑定をやったのです。そうしたら、別人の子どもであることが判明した。自分の子ではないのだから、被相続人が生前にした認知は無効になりました。

八木:DNA鑑定ですか。前回説明いただいた「死後認知」(※)と逆パターンですね。

鴛海先生:さてそうなると、「養子」のほうも問題です。これも前回お話ししたように、被相続人は内縁の妻の子をわが子と疑わず、だからこそ「同じ兄弟なのだから……」という彼女の懇願に応える形で、連れ子2人とも養子縁組をしたのでした。その前提が崩れたわけですから。

結局、依頼人は最高裁まで争って、父親のした養子縁組の解消も勝ち取りました。その結果、法定相続人は依頼人1人ということになったわけです。争わなかったら、遺産の4分の3が「他人」に流出するところでしたから、彼にとってはまさに「地獄から天国」の相続でした。

八木:養子を解消するのは難しいと聞きますが。

鴛海先生:はい。話したように、この事例でも最高裁まで争いました。弁護士さんは相当苦労なさったと思いますよ。養子縁組が社会にとって有用な仕組みであることは間違いありませんけど、結ぶのが比較的容易なのに対して、何かのトラブルで解消しようとしてもなかなかハードルが高いということは、頭の片隅に置いておいたほうがいいかもしれません。

※死後認知 法的な婚姻関係のない男女に生まれた子どもを父親が認知せずに死亡した場合に、DNA鑑定を基に父子関係を成立させる制度。

◆見直したい遺言書の力

八木:このケースでは、10億円という多額の遺産がありながら、被相続人は遺言書を書いていなかったんですね。逆に、「内縁の妻と子供に財産を譲る」といった内容のものがあったら、依頼人はいっそう困ったことになっていたかもしれませんけど。

鴛海先生:そうですね。遺言書があれば、法定相続人以外に財産を譲るようなことも可能ですから。ただ、一般論で言えば、被相続人の遺志を示すことが、相続人の間の無用の争いを避けることにもつながるのですから、きちんとした遺言書を残すべきだと思います。私のところに、生前に相続に関する相談があった場合には、必ず「遺言書を書きましょう」とアドバイスするのですが……。

八木:実行する人は少ないですか?

鴛海先生:まだまだ多いとはいえません。かつ、「自分で作るから書き方を教えてほしい」という方が、けっこう多数派なんですよ。遺言書には、自分で書く自筆証書遺言書、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言書などがあるのですが、お勧めするのは「公正証書」です。自分で書くのは手軽でお金もかからないし、中身を他人に知られないというメリットもありますけど、紛失したり偽造されたりといったリスクも高くなる。せっかく遺言を残すのだったら、より安心・確実な方法を選ぶべきだと、私は思います。

カテゴリ:遺産分割
関連記事
持株会社の設立も、事業継承に有効だ ~賢い事業承継を考える④~
事業継承の際の、後継者へのスムーズな自社株の譲渡のために、持株会社を設立するケースも増えてきています。確かに、株価を抑え、後継者に「渡しやすくする」のに有効な、この方法。ただし、その効果をより大きくするためには、注意すべき点もあるようです。公認会計士・税理士の田上敏明先生に、事例も踏まえて解説していただきます。
「都心に家」で、あなたにも相続税が!?
来年1月から、相続税が「増税」になる――。このサイトを覗かれた方なら、そのこと自体はご存知かもしれません。ただ、「課税対象者は“100人に4人”が“100人に6人”に増えるだけ」と聞けば、「なんだ、“中流家庭”のウチには関係ないだろう」という気になるし、「いや、課税対象かどうかのボーダーラインが、4割も引き下げられるみたいだぞ」と言われると、とたんに不安になってくる。いったい、制度が変わるインパクトは、どの程度のものなのでしょう?税理士・公認会計士の鴛海量明先生に聞きました。
相続税の基礎控除額引き下げが招く「大変な時代」
今年1月から、相続税の基礎控除額が引き下げられ、税額自体も引き上げられました。今までは、「相続税なんて、よほどのお金持ちの話」と思われていたのが、東京都内に小なりといえども一軒家を持っていたりすれば、課税対象かどうかを心配しなければならないような状況になりました。税理士の小林清先生は、「法改正で、大変な時代になった」と、その影響の大きさに注意を促します。
相続が得意な税理士の無料紹介はこちら