相続税、現金で払えなければ「物納」できる~その2~ ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

トップページ > 遺産相続 「先生 教えて !」 > 相続税、現金で払えなければ「物納」できる~その2~

相続税、現金で払えなければ「物納」できる~その2~
vol.153img
前回、税理士法人みらい経営の神緒美樹先生に、相続税が現金で納付できない場合に認められる「物納」について説明していただきました。「現金一括納付」が原則の相続税ですから、厳格な要件が定められているこの制度ですが、先生は相続の途中で物納に切り替えて、納税者の利益を守った経験があるそうです。今回は、そんな事例をご紹介いただきましょう。
◆遺産の有価証券が暴落した

八木:先生の担当された物納の事例は、外債を対象としたものだったというお話でした。

神緒先生:そうです。具体的にはオーストラリア・ドル建て債券だったんですよ。お父さんが亡くなって、相続人はお母さんと子ども。遺産総額は5億円ほどで、相続税は約1億円という相続だったのですが、被相続人はこの手の資産運用が好きだったのか、遺産の8割ほどを、この外債が占めていたのです。

相続が発生したのは昨年秋で、特に揉めることもなく、11月にはほぼ遺産分割協議がまとまりました。外債をすべて現金化して相続し、税金もそれで賄うというスキームだったんですね。私は「速やかに申告・納税を済ませましょう」とお話ししたのですが、お客様は「まあ、正月過ぎてからでいいだろう」と。ところが悪いことに、年明け早々その外債が暴落してしまったんですよ。

八木:それは大変です。上場されている債権の遺産評価額は、基本的に被相続人が亡くなった日の最終価格になります。相続税はそれをベースに計算されるのに、実質的な相続金額は大きく目減りしてしまったわけですね。年を越したツケは、高いものについてしまいました。

神緒先生:まあ、逆になる可能性もあるわけですが、上場している株や債券は相場が変動しますから、相続の際にはその点も気をつけたいところです。ともあれ、起きてしまったことは仕方がありません。「被害」を最小限に食い止めるために、私は急遽、暴落した外債を現金化するのではなく、そのまま物納するという方針に切り替えたんですよ。こうすれば、相続発生時の時価で納税できますから。
◆物納にもテクニックがある

八木:物納申請というのは、税理士の先生方にとっても骨の折れるものなのですか?

神緒先生:税務当局とのやりとりをはじめ、大変な労力を要します。できればやりたくない(笑)。でも、知識と経験を生かしてお客様にいいサービスを提供するのが仕事ですから、物納がベストだと判断したら、臆せずにその方法を選択します。

物納の場合特に大事になるのは、相続の案件ごとに資産や相続人の状況をしっかりつかんだうえで、あえて言えば「物納のしやすい遺産分割」に持って行くことなんですよ。今回の事例では、預貯金などはお母さんに相続してもらい、外債は子どもに集中するよう、分割を組み直しました。そうすることによって、「子どもは外債を物納するしかない」状況を作り上げたわけです。

八木:なるほど。それなら税務署も認めざるを得ないですよね。

神緒先生:「債券類の物納」について細かな注意点を補足しておくと、まず「名義書き換えの出来ること」が条件です。株価が1円とか2円とかになってしまったらそれができなくなりますから、その危険性がある場合には、申請を急ぐ必要があります。

また、今回のように外債の場合、日本の証券会社を通して売買されていることが条件になるでしょう。直で取引していたものは、物納されても管理が難しいという理由で、申請が却下される可能性が大きいと思ってください。
関連記事
相続で評価されない「親の介護」
兄弟間の相続争いでよく火種になるのが、「親に対する貢献度」。亡くなった親と同居して、長く介護していたような場合には、「遺産は他の兄弟より多くもらって当然」と考えるのは、自然な感情にも思えます。しかし、法的には、相続においてその貢献はほとんど認められない、という現実があります。では、こうしたケースでは、打つ手は何もないのでしょうか? 税理士の浅野和治先生に聞きました。
「私は別の税理士に頼む」。気持ちは分かるけど……
たいていの場合、相続税の申告は、税理士に依頼します。それも、ある相続に関しては、一人の税理士が担当するのが普通。ところが、遺産の分割で揉めると、相続人がそれぞれ別の税理士に申告を任せて、争うこともあるのだそう。「でも、それは、相続人にとって得策ではありません」と、斎藤英一先生は話します。
15億円の相続税を「取り戻した」話
実は、税理士の中には、相続に詳しい先生もいれば、そうでない先生もいます。特に多額の資産を持っていたり、多くの不動産が絡んだり、事業承継が必要だったり――といった相続の場合には、“その道のプロ”に頼むのが正解です。今回は、税理士法人おしうみ総合会計事務所の鴛海量明先生に、それが実感できる事例をご紹介いただきます。
相続が得意な税理士の無料紹介はこちら