遺産分割協議の「招かれざる客」=相続人の配偶者 ┃ 相続に強い税理士紹介 相続財産センター

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遺産分割協議の「招かれざる客」=相続人の配偶者
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被相続人が残した遺産を、相続人の間で具体的にどう分けるのかを決めるのが、遺産分割協議です。ところが、ただでさえナーバスになるその現場に、事態を一層複雑にする「部外者」が介入することが、たまにあります。協議は、あくまでも相続人同士で行われるべきもの。そのルールを破るデメリット、リスクを、税理士法人長沼税務会計事務所の長沼隆弘先生に語っていただきました。
◆「権利は行使すべき」と横やりを入れる

八木:前回、姉の生活を慮って遺産を彼女に「譲った」弟さんの事例を紹介していただきましたが、私は同じような「美談」が、最後に覆った相続を知っています。「私は遺産はいらない」と言っていた次女が、遺産分割協議の土壇場になって「やっぱり法定相続分(※1)はもらいたい」と発言を翻した結果、ドロ沼の「争続」になってしまったんですよ。

長沼先生:どうして言うことが変わったんですか?

八木:夫に「遺産を“放棄”するのはおかしい。もらえるぶんは、ちゃんともらうべきだ」と言われて、考えが変わったんですね。同じように、相続人の夫や妻の意見が分割協議に大きな影響を与えることは少なくありません。配偶者自身が、話し合いの場に乗り込んでくることもあります。そういう場合、先生ならどう対処なさいますか?

長沼先生:まずはっきりさせておくべきなのは、「相続人の配偶者は、相続人ではない」ということです。そういう人が分割協議に入ってくると、話し合いが混乱するのは目に見えています。仮に配偶者を連れてくるような相続人がいたら、そのことをしっかりお話ししたうえで、過去に配偶者が乗り込んできて協議が決裂しそうになった例なども引き合いに出して、「相続人だけの話し合い」に理解を求めますね。

私たち税理士は、遺産分割協議の中身を主導する立場にはありません。ですが、配偶者などの相続人ではない人が介入してきた結果、話がこじれるような気配を察した時には、「あらためて仕切り直しにする選択肢もありますよ」くらいのアドバイスをすることもあります。
◆遺産分割協議がまとまらないと……

八木:仮に相続人の配偶者が話し合いに絡んだ結果、なかなか協議がまとまらないでいると、どうなるのでしょうか?

長沼先生:当面問題になるのは、相続税の支払いですね。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなってから10ヵ月以内と決められています。もしこの期限内に話し合いがまとまらないと、「未分割」という状態で、いったん申告手続きをしなくてはなりません。税務署は待ってくれないんですよ。

「未分割」で申告すると、配偶者控除とか「小規模宅地の特例」(※2)のような特例は、一切使えません。例えば配偶者控除を使えば、配偶者は1億6000万円まで、またはそれを超えても法定相続分までは非課税になるはずが、しっかり課税されてしまうわけですね。相続人は、そんな高い税金を、それぞれの法定相続分に従っていったん納めなくてはならなくなるのです。相続した不動産の一部を売って相続税の支払いに充てるといったことも、その不動産が誰のものか決まっていないのですから、できません。遺産の額にもよりますけど、けっこうきついことになりますよ。

八木:「あの人は私より相続に詳しいから」などと安易に夫に「代理」を頼んだ結果、分割協議を混乱させたら、その代償はことのほか大きいということですね。

長沼先生:相続で揉める理由はさまざまですけど、遺産分割協議の場に自ら火種を持ち込むようなことは、現に慎むべきです。

※1法定相続分 被相続人の遺言書がない場合に、民法が定めた相続人の遺産の取り分。相続人が妻と子ども2人ならば、妻が2分の1、子どもは4分の1ずつ。

※2小規模宅地の特例 相続人が親と同居しているなどの要件を満たした時に、不動産の相続税上の評価額を削減できる特例。
カテゴリ:贈与 遺産分割
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